MOVIE|ジェラール・フィリップ代表作『赤と黒』デジタルリマスター版公開
ジェラール・フィリップ没後50年特別企画
ジェラール・フィリップ代表作 『赤と黒』 デジタルリマスター版公開
スタンダールの小説『赤と黒』を『肉体の悪魔』のクロード・オータン=ララが映画化したカラー文芸大作。監督の熱烈なリクエストにより、ジュリヤン・ソレル役を引き受けたジェラール・フィリップは、監督や脚本家と細部に至るまで議論を重ね、唯一無二の“ジュリヤン・ソレル”像をつくりだした。
フランス映画のクラシック映画作品『赤と黒』のデジタルリマスターが、11月28日(土)より銀座テアトルシネマにてロードショー公開される。
文=山中陽子(セテラ・インターナショナル)
フランス映画界でも異例の夢の中の王子様のような存在の人
1959年11月25日に、フランスの希望の星ともいえる国民的スターが37歳にあと9日という若さで亡くなった。その人の名前はジェラール・フィリップ。
アメリカにも夭折の俳優ジェームス・ディーンがいたように、ジェラール・フィリップという人は戦後のフランス映画黄金時代を代表するスターだった。そのたぐいまれな美しい容姿は、ほかにたとえる人がいないほど。写真一枚で人を惹きつける非の打ちどころのない美貌。動けばさらに美しく燕尾服や軍服などを着た立ち姿もこれほど様になり、すらりとしなやかなエレガンスを醸し出す人はほかに見たことがない。フランス映画界でも異例の夢の中の王子様のような存在の人だった。フランス人に言わせてもアラン・ドロンも足元にも及ばないという。その美貌を生かして彼は多くの文芸映画に出演し、ヒーローを演じフランスの貴公子と呼ばれていた。そして36歳で突然病死した彼は若い風貌のまま、人々の脳裏に美しいイメージを残し「永遠の貴公子」と呼ばれた。
この人気はフランスだけでなく、とくに日本での1950年代の人気はすごかった。そしてその人気がはるか日本でも大きかった理由には彼が単なる美貌だけの俳優でなく演技者としても一流で、舞台で鍛えたたしかな演技力をもっていたからである。
その証拠に、その時代を代表する名監督たちと次々に名作と言われる映画を残し、悲劇のヒーローは『肉体の悪魔』『赤と黒』『モンパルナスの灯』などで、ロマンテックなコメディは『夜ごとの美女』、ドン・ファンな誘惑者『しのび逢い』、冒険活劇のヒーローでは『パルムの僧院』『花咲ける騎士道』など、その都度まったく違う面を見せながら演じ分けたのだ。日本には1953年に第1回フランス映画祭のゲストとして来日したが、当時の羽田空港には日本のトップ女優たちが出迎えて、彼がもみくちゃになっている写真が彼の人気の凄さを物語っている。
“稀代のジュリヤン・ソレル役者”、未公開シーンも含む完全版192分に酔う
その彼が36歳で亡くなって今年は50年。彼の代表作であるスタンダール原作の文芸大作映画『赤と黒』がデジタルリマスター版として11月28日(土)より都内の銀座テアトルシネマにて没後50年特別企画としてリバイバル上映される。
野心と出世欲のために愛をも利用して時代を駆け抜けたスタンダールが生み出した永遠のヒーロー、ジュリヤン・ソレルを演じて“稀代のジュリヤン・ソレル役者”が彼の代名詞にもなったジェラール・フィリップの代表作だ。1954年製作、当時のフランス映画最高のスタッフ、キャストが結集して作られた3時間の大作。この完成したばかりの『赤と黒 デジタルマスター版』が日本にて世界初上映、しかもいままで公開されたものより7分長い未公開シーンも含む完全版192分での上映だ。
フランス映画に初めてカラー映画が入った年にできたこの唯一無二のカラー超大作のデジタルリマスター版をこの機会に大スクリーンでぜひご覧ください。そしてジェラール・フィリップを発見して驚かれた方には、彼の代表作7作品を同時にモーニングショーなどで上映する企画もご用意。時代を経ても決して色あせない不世出の俳優、ジェラール・フィリップの魅力をぜひご堪能ください。
STORY
ジュリヤン・ソレルは自分の魅力を武器に貴族階級への転身を図ろうとする野心に満ちた聡明な若者であった。家庭教師として住まうこととなった町長レナル家で、ジュリヤンはレナル夫人と人目をしのぶ恋仲になってしまう。スキャンダルの発覚を恐れて神学校へと旅立った彼を待っていたものとは……。
ジェラール・フィリップ没後50年特別企画
『赤と黒 デジタルリマスター版』
2009年11月28日(土)より 銀座テアトルシネマ
2009年12月 大阪・テアトル梅田
2010年春 名古屋・名演小劇場 ほか 全国順次ロードショー
<ジェラール・フィリップ没後50年特別企画上映7作品
※モーニングショー>
『パルムの僧院(完全版)』『しのび逢い』『肉体の悪魔』
『花咲ける騎士道』『モンパルナスの灯』『夜ごとの美女』
『危険な関係』
配給|セテラ・インターナショナル
www.cetera.co.jp/akatokuro