MOVIE|映画『eatrip(イートリップ)』野村友里監督インタビュー
映画『eatrip(イートリップ)』
野村友里監督インタビュー
恵比寿ガーデンシネマのホールでは、映画にも登場する築地・鰹節問屋の秋山商店の鰹節の香しい匂いが漂い、初日舞台挨拶では、第33回モントリオール世界映画祭のドキュメンタリー・オブ・ザ・ワールドへの正式出品も発表された『eatrip(イートリップ)』。
恵比寿ガーデンシネマでの初日舞台挨拶を終えた野村友里監督にお話をうかがった。
文=オウプナーズ写真=原恵美子
「今、なにが大事なのか」とか「生き方とは」というものを映像で問いかけたかった
野村友里 私は今回は、「食にまつわる空間や気持ちなど、目に見えないものを五感で感じてほしい」という思いがあって、昔では考えられなかった“フードディレクター”という肩書きで、今の世の中に生かせてもらっている身として、今の私に求められていることは、食という切り口から世の中になにか問いかけることができるのではないかと思い、映画を撮ることにチャレンジしました。
浅野忠信さんもUAさんも映画の経験者で、とくに浅野さんはその道のひとなのでとても明確な答えがあって、いろいろ相談させてもらったし、心配もしてくれて。今回はドキュメンタリーということで、おふたりとも現場にすごくこだわってくれました。
ひとつばらすと、UAさんが野菜を買っているシーンで、「あ、いのししだ!」と言うシーンがあるんですが、あれはカメラマンさんがころんじゃって大きな音がしたので、それを彼女がフォローして「いのししだ!」って言ったんです(笑)。
浅野さんと千宗屋さんの茶室のシーンは一発撮りだったんですが、「一度だけシミュレーションしてみる?」と聞いたら、「これ、ドキュメンタリーだよね」って、そのまま撮りはじめたんです。そんななか、浅野さんと千さんの空気がどんどん濃くなっていくのはすごいなと思いましたね。
第33回モントリオール世界映画祭のドキュメンタリー・オブ・ザ・ワールドに正式出品決定!
今回、オウプナーズで、映画の公開前に、桑原茂一さん、石川直樹さん、そして若木信吾さんからメッセージをいただきました。
照れくさいけど、男性からストレートなメッセージをいただくとうれしいものですね。
今回、16ミリフィルムにこだわったのは、じつはUAが「利便性を求めるならデジタルだけど、美しさとか手触り感とかなら絶対フィルムがいい」というアドバイスをくれたからなんです。
私自身はそのときはそこまで考えていなかったんですけど、プロデューサーの甲斐真樹さんが快諾してくれて、フィルムならではの緊張感も出ていると思います。とても贅たくなことですが。
モントリオール世界映画祭の出品は、まだ正直実感はありませんが、出演者の方に喜んでいただいたり、観に来ていただいた方にも広がっていけばうれしいですね。
じつはこの映画の裏テーマには「日本を元気にしたい」というのがあって、海外に出るのはすごくうれしいこと。
日本には良いものがたくさんあって、とても誇れる文化のひとつで、食はボーダレスなので、世界でも多くのひとに観てもらえればと思います。
『eatrip』(イートリップ)
6月26日(金)まで、恵比寿ガーデンシネマにて先行プレミア上映中。
「映画」+「五感体験」をテーマにイベント上映を実施しながら、日本全国を巡るツアー型で劇場公開予定。
キャスト|
髙橋皖司 秋山鐘一郎 森岡尚子 UA 千宗屋 浅野忠信 酒井日慈 下田昌克 首藤 康之 ヨーガン レール コトリンゴ 青柳拓次 浅野順子 内田也哉子
プロデューサー|甲斐真樹
監督|野村友里
音楽|青柳拓次
写真|高木由利子
詩|内田也哉子
製作・配給|スタイルジャム
公式サイト
http://eatrip.jp