MOVIE|青年のひと夏のミステリー『ペーパーボーイ 真夏の引力』
MOVIE│全米ベストセラーをリー・ダニエルズ監督が映画化
青年のひと夏の経験がもたらすミステリー『ペーパーボーイ 真夏の引力』
ピート・デクスターによる全米ベストセラー小説を映画化したサスペンス『ペーパーボーイ 真夏の引力』が7月27日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
主演のザック・エフロンや魔性の女を演じるニコール・キッドマンら豪華出演陣が競演
1995年に本国アメリカで発表されるやいなや大きな話題となった同名小説を原作に、2009年の『プレシャス』で絶賛されたリー・ダニエルズ監督が映画化した『ペーパーボーイ 真夏の引力』。人種差別などの保守的な気風が色濃く残る1960年代末の南部フロリダを舞台に、まだ社会の荒波にもまれていない青年ジャックがひと夏の未知なる冒険に身を投じ、人生が一変してしまうショッキングな運命がなまなましく映し出された。
主演は『ハイスクール・ミュージカル』で知られるザック・エフロン。主人公ジャックの複雑な感情をリアルに表現し、アイドルからの脱皮を鮮烈に印象付けた。そして、ジャックが恋する魔性の女シャーロット役はニコール・キッドマン。さらに、マシュー・マコノヒーやジョン・キューザックら豪華出演陣がセンセーショナルな罪深き官能に満ちた世界を生み出している。
青年のもっとも刺激的な夏は、生涯忘れえぬ残酷な夏へと変貌していく──
フロリダ州の小さな街で鬱屈した日々を過ごす青年ジャック。彼にとってうだるように暑い1969年の夏はいつにもまして退屈な季節となるはずだった。はからずも大学を中退し、父親の会社で新聞配達をしている彼は、取り立ててやることもないし、ガールフレンドもいない。
そんな時間をもてあましていたジャックのもとに、ある日突然、おもわぬ任務が舞い込んでくる。大手新聞社に務める記者の兄ウォードがある殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を取材するために帰省し、その助手を務めることになったのだ。
さらにジャックは獄中にいる死刑囚の婚約者シャーロットにたちまち心を奪われ、胸が張り裂けそうなほど切ない想いを募らせていく。やがて殺人事件の深い闇に分け入り、叶わぬ恋に身を焦がすジャックが目の当たりにしたのは、想像を絶するような悪夢のような現実。かくしてイノセントな若者のもっとも刺激的な夏は、生涯忘れえぬ残酷な夏へと変貌していく──。
陽光きらめくリゾート、フロリダのイメージを覆し、うっそうとしたフィルム・ノワールへと観る者をいざなうリー・ダニエルズ監督による映像世界。危うくも魅惑的な映画体験をぜひこの夏、味わいたい。
『ペーパーボーイ 真夏の引力』
7月27日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督・脚本・製作│リー・ダニエルズ
出演│ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック
配給│日活
2012年/アメリカ/107分/R15+
© 2012 PAPERBOY PRODUCTIONS,INC.