MOVIE|ベルリン映画祭で金熊賞獲得! 『塀の中のジュリアス・シーザー』
MOVIE|巨匠ダヴィアーニ兄弟が放つ異色の話題作
ベルリン映画祭で金熊賞獲得! 『塀の中のジュリアス・シーザー』
世界的巨匠監督のパオロ&ヴィットリオ・ダヴィアーニ兄弟が実際の刑務所を舞台に、受刑者たちを起用して撮影した『塀の中のジュリアス・シーザー』が、1月26日(土)から銀座テアトルシネマほかでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
登場人物には“現役”の受刑者を起用
1977年に『父/パードレ・パドローネ』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、1982年に『サン・ロレンツォの夜』でカンヌ国際映画祭審査員グランプリを獲得するなど、世界的な巨匠として名高いパオロ&ヴィットリオ・ダヴィアーニ兄弟。彼らがあらたに世に放った新作は、登場人物に実際の受刑者を起用するなど、これまでの著名な作品群とは一線を画し、原点に立ち返ったドキュメンタリー・スタイルとなった。
本作は、ベルリン映画祭で絶賛を浴びて金熊賞を獲得したほか、同時にエキュメニカル審査員賞も受賞。本国イタリアでも映画祭直後の昨年2月に公開され、イタリアのアカデミー賞ともいわれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品、監督、プロデューサー、編集、録音の主要5部門で受賞。名実ともに2012年を代表する傑作として認められた作品が、満を持して日本公開となる。
役に同化する囚人、ローマ帝国へと変貌する刑務所
イタリア、ローマ郊外にあるレビッビア刑務所。ここでは毎年受刑者たちが演劇を披露し、一般の人びとに見せる舞台が開催される。今回はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』に決まった。そして開催される出演者のオーディション。ブルータスが、シーザーが、キャシアスが次つぎに決まってゆく。本番に向けて所内のさまざまな場所ではじまった稽古で次第に囚人たちは役に同化し、刑務所自体もローマ帝国へと変貌してゆく。
ダヴィアーニ兄弟により繰り出される、現実と虚構の織り成すマジック。ドキュメンタリーとフィクションの境界が消えたとき、果たして『塀の中のジュリアス・シーザー』がもたらすものとは――。ぜひ劇場でその瞬間を目撃していただきたい。
『塀の中のジュリアス・シーザー』
1月26日(土)より銀座テアトルシネマほかでロードショー
監督|パオロ&ヴィットリオ・ダヴィアーニ
出演|コジモ・レーガ、サルヴァトーレ・ストリアーノ、ジョヴァンニ・アルクーリ
配給|スターサンズ
2012年/イタリア/76分
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