MOVIE|メリル・ストリープ来日! 映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
MOVIE|メリル・ストリープ、アカデミー賞主演女優賞受賞!
女性宰相の栄光と挫折を描く
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
第84回アカデミー賞で主演女優賞とメイクアップ賞を受賞した『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』が3月16日(金)に公開される。公開にあわせて、3度目のオスカーを手にしたメリル・ストリープとフィリダ・ロイド監督も来日。舞台挨拶や記者会見をおこない、映画の見どころや受賞のよろこびを語った。
Text by YANAKA Tomomi
公開に合わせて来日し、記者会見も
メリル・ストリープが圧倒的な演技力でマーガレット・サッチャー元イギリス首相を演じ、アカデミー主演女優賞を獲得した話題作『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』。『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイド監督との2度目のタッグとなった本作は、おなじ女性でも、カリスマ的ヒロインの凋落を描くものとなった。
舞台挨拶でメリルは、オスカー受賞について「この歳だから感動しないとおもっていたけど、頭が真っ白になって興奮したわ!」とよろこびを語り、また日本へは「3.11から1年。未来と希望は絶対にあると伝えたい」とエールも。
鏡開きをおこなった記者会見では、樽に指を入れて味見をするなど、チャーミングな姿を見せた彼女。「サッチャーは愛され、憎まれた女性。お年を召されてからの彼女の日常を知らないので、このふたつを融合するのが難しかったわ」と話し、「実在の人物を演じるために正確で真実に近い役づくりをしていきました。観たひとが彼女の人生に自分を重ね合わせられるように演じたかった」と、本作に対する想いを述べた。
メリル・ストリープが演じる“鉄の女”の真の姿
雑貨商の娘として生まれたマーガレット・ロバーツ(メリル・ストリープ)は、市長まで務めた父から大きな影響を受ける。そして、大学卒業後に政治家を志すも落選。落ち込んでいる彼女にプロポーズをしたのは好青年のデニス・サッチャー(ジム・ブロードベント)だった。男の子と女の子の双子に恵まれるも、政治への意欲を注ぎつづけるマーガレットは、ついに下院議員に当選。教育科学相に任命されたものの、内閣が総選挙で敗れると保守党党首選への出馬を決意し、髪型から発声法まで研究、党首に当選する。
首相となったマーガレットを待ち受けていたのは、高い失業率や不況、IRA(アイルランド共和軍)によるテロと穏やかなものではない。そんな時、アルゼンチンがフォークランド諸島に侵出した。国内の慎重派を押し切り、マーガレットはすぐにイギリス軍を出動。みごと勝利を収め、経済も建て直し、カリスマ的なリーダーとして評される彼女だが、「人頭税」の導入をめぐり、国民の怒りとともに側近が離れ、“鉄の女”にも引き時がやってくる。
そして、現在。老いを迎え、認知症にも苦しむようになったマーガレットは、過去の栄光と挫折をおもい返しながら、幻想に現れる夫に問いかける。「あなたは幸せだった?」と──。
“元首相”という肩書きの伝記としてではなく、妻や母としての顔があり、知られざる孤独と苦悩をもつ女性を描き出した物語。メリル・ストリープだからこそ演じきれた、“鉄の女”の真の姿を見つめたい。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
監督│フィリダ・ロイド(『マンマ・ミーア!』など)
脚本|アビ・モーガン(『SHAME─シェイム─』など)
出演│メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント
2011年/ギャガ/イギリス/105分
©2011 Pathé Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute