MOVIE|フランスの巨匠ゴダールが最新作 『ゴダール・ソシアリスム』公開
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2015年2月27日

MOVIE|フランスの巨匠ゴダールが最新作 『ゴダール・ソシアリスム』公開

フランスの巨匠ゴダールが最新作

『ゴダール・ソシアリスム』公開

ヌーベルバーク運動の旗手で、80歳を過ぎてもなお、精力的な活動をみせるジャン=リュック・ゴダール監督。彼の最新作「ゴダール・ソシアリスム」が、12月18日から日比谷のTOHOシネマズシャンテで公開される。

文=谷中朋未

疾走する映像美とサウンドが圧巻

長編第一作目となった『勝手にしやがれ』(1959年)で、即興演出や大胆な編集など、斬新な作風で、ヌーベルバーグの寵児となったゴダール。その後も『気狂いピエロ』(1965年)、『中国女』(1967年)など、意欲的な作品を発表、フランスを代表する映画監督のひとりとなった。ゴダール最後の長編劇映画とも噂される『ゴダール・ソシアリスム』は、2010年のカンヌ映画祭でも招待作品として上映。全編を疾走する映像美とサウンド、さまざまな箴言(しんげん)などを引用した、ゴダール独特の詩的なせりふで観客を圧倒した。

『ゴダール・ソシアリスム』は、3楽章のシンフォニー構成となっている。
地中海を周遊する豪華客船ゴールデン・ウェブ号を舞台にした第1章「こんな事ども」は、スペイン内戦でなくなった黄金をめぐるミステリーを軸に、複数のストリートラインが速いテンポで展開する。
第2楽章は、緩やかなテンポの「どこへ行く、ヨーロッパ」。フランスの片田舎の4人家族と動物たちが主役だ。第3楽章、「われら人類」は、人類の歴史を築いたエジプト、パレスチナ、オデッサ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナの6ヵ所を訪問する。
その航路は第1楽章でゴールデン・ウェブ号がたどっていた航路と重なり、第3章をもってシンフォニーは完結する。

フランスの巨匠ゴダールが最新作 「ゴダール・ソシアリスム」公開

フランスの巨匠ゴダールが最新作 「ゴダール・ソシアリスム」公開

本作では、箴言や警句が溢れ、ゴダールお得意の引用がちりばめられている。引用はゴダールの初期からおなじみだったが、本作はせりふのほとんどが引用という、綱渡りの極限のような作り方だ。本編のなかにクレジット・タイトルで引用の出典一覧を出す徹底ぶりで、引用という制限のなかで、あらたな創作をおこなうという挑戦を果たした。また、ロックシンガーのパティ・スミスの出演も見どころのひとつだ。

はじめて映画全編をHDカムで撮影する試みに挑戦したゴダール。ほかにも1時間42分の本編全編を、超高速でまわし、約90秒で見せる疾走感溢れる予告編もゴダール自身が制作し、YouTubeで公開、話題を呼んだ。ゴダールの集大成とも呼び声高い『ゴダール・ソシアリスム』は、第一線を走ってきた巨匠のあらたな一面を見ることができる作品となるだろう。
12月18日(土)より日比谷TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

『ゴダール・ソシアリスム』
監督|ジャン=リュック・ゴダール
配給|フランス映画社
Tel. 03-3545-3411

           
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