LOUNGE /
FEATURES
2022年12月19日
“新しい未来”とは?鋭い発言が飛び交う予定調和なしの「SIW2022」自由放談!|LOUNGE
LOUNGE|SIW2022
“ゲーム”をきっかけにした、プロフェッショナルトーク
「新しい未来のつくり方」と題された「SIW2022」初日最後のセッション。スピーカーは、独自の視点と発想、歯に衣着せぬ鋭い発言で注目を集めるイェール大学助教授・経済学者である成田悠輔さん、そして成田さんと同級生であり、部活動も一緒だったというプロゲーマーのときどさんを迎えます。「新しい未来」という抽象的なテーマですが、オフィシャルサイトの紹介文にある通りの「自由放談」が縦横無尽に展開されました。
<SPEAKER>
成田 悠輔(イェール大学助教授/経済学者/半熟仮想株式会社代表)
ときど(ロートZ!所属プロゲーマー)
中馬 和彦(KDDI株式会社 事業創造本部 副本部長 兼 Web3事業推進室長 兼 LX戦略部長)
金山 淳吾(SIWエグゼクティブプロデューサー)
<SPEAKER>
成田 悠輔(イェール大学助教授/経済学者/半熟仮想株式会社代表)
ときど(ロートZ!所属プロゲーマー)
中馬 和彦(KDDI株式会社 事業創造本部 副本部長 兼 Web3事業推進室長 兼 LX戦略部長)
金山 淳吾(SIWエグゼクティブプロデューサー)
Text by NAKANISHI hideo
「アイデアと触れ合う、渋谷の6日間。」として、日本最大級のソーシャルデザインをテーマにした東京・渋谷の都市フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022」(SIW2022)が11月8日(火)〜13日(日)に開催された。
「渋谷アイデア会議」として、色々な個性を持った人が集まり、違うアイデア、違う視点など切磋琢磨して議論が繰り広げられ、未来に繋がる新しい発想やクリエイションが集まりました。初日最後のセッションに、成田悠輔さん、プロゲーマーのときどさん、KDDI株式会社 事業創造本部 副本部長の中馬さん、SIWエグゼクティブプロデューサーの金山さんが集い、熱いトークが繰り広げられました。
イントロダクションでは、成田さんとときどさんの山岳部時代の思い出話が披露され、和やかなムードでスタート。その後、ファシリテーターを務める金山が「未来」の切り口でeスポーツ、プロゲーマーについて自身の過去を振り返りながら、ときどさんに質問をしました。
金山 自分の子供の頃は、ゲームはいつかは卒業しなくてはいけないものだった。いまではeスポーツと呼ばれ、プロ化している。いつからプロになるって思っていましたか?
ときど 僕も東大に行っていて、プロゲーマーになろうとは思っていませんでした。ゲームはお金にならないので。そんなときに自分のライバルが、ゲームで食っていくと宣言したんです。それを聞いて、今までゲームにかけた時間や努力を無駄にしたくない、自分もやりたいと強く思うようになりました。
成田さんとときどさんは、麻布中学校・高等学校、東京大学卒業という、いわばエリート中のエリートの道を歩んでいます。突如、プロゲーマーの道を選んだことは、当然のように周囲の猛反対にあったと言いますが、成田さんはこう発言します。
成田 僕はこれから確実に成長する市場で、プレーヤーが少ない。だから、魅力的なマーケットだったと思いますし、ゲームがプロ化していくのは人間の歴史を見ると、自然な流れ。カーリングもゲームに近いですし、これまでも何でもスポーツという枠組みに入れてきて産業になってきている。
さらにゲームと現在の社会構造をなぞらえてこう続けます。
成田 大事なのはゲームデザイナーのメンタリティを持つこと。政治とか経済になるとなぜか皆さんが思考停止する。社会のルールは変えられない法則だと思い込んでいますが、現行ルールの歴史は200年くらい。ちょっと昔に作った人のゲームに過ぎない。じゃあ、ルールをどうやって変えるか? もしくは違うゲームにしてみるとか、そういう発想が大事になる。
この発言を受けて、KDDI株式会社でメタバースの研究をしている中馬氏もゲームメイカー、ルールメイカーになることの重要性を強調します。
中馬 国や企業の境界線が曖昧になってきているなかで、カーボンニュートラルやSDGsは世界中で取り組んでいる。これもヨーロッパが提唱したルールなんですが、現実的に地球が危ないのは事実なので全世界で取り組まざるを得ない。Web3やメタバースも同様でプレーヤーになるのではなく、ルールメイカーになれるチャンスがある。だから、みんなが飛びついている
いよいよ、「新しい未来のつくり方」の本丸に話題が移るのか、という予想は簡単に覆されます。このメンバーに予定調和などなく、どんどんを面白い方向に話は脱線していきます。格闘ゲームの進化の先、人が考えていること、やりたいことの9割が、脳波を調べることメタバースに再現できること、日本でのイノベーションが起きない理由、犬や猫と人間がゲームで対戦できる可能性、コミュニケーションに制限を加えることで起きうる変化……などここでは書ききれない様々なトピックが飛び交います(ぜひ、アーカイブをご覧ください)。
Web3、メタバース、NFTなど昨今話題となっているデジタル技術に関しての問いかけにも成田氏は「特定の技術に注目することはない」と断言しつつ、下記のメッセージを投げかけます。
成田 なぜなら、何かひとつのもので世界を変えるようなイノベーションは考えられず、今後数十年小さな技術革新が起こり続けて、数百年かけて社会を変えていくプロセスになるからです。でも、それだと注目されないからメディアがそのようなバズワードを作っている。それに惑わされないで、大きな流れをみていくことが大事。
未来や将来を考える際に、ときには誇大に、その一方で「自分が生きている間」での出来事で創造してしまいます。現在の変化は、昔から始まっている変化のいち過程であり、社会変革は数百年かかるものである。個々人の人生の主役は自分自身ですが、ときには客観視すると同時に世界を構成する要素に過ぎないことを自覚することで、現実的にそれぞれの新しい未来が見えてくるかもしれません。