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2021年2月26日
Equally beautiful. 第4回目
すべては等価値の世界に。人の命と地球の命はEqually(等価)である、という意味で始まった環境を考える連載。
いきなりみみっちい話で申し訳ないのだけれど、筆者がコーヒーを淹れるときの話をしてみたい。
カップ一杯なら、カップに水を入れ、数人で飲むときのポットならポットに水を入れ、その水を細い口のコーヒー用ドリップケトルに入れ替えてからコンロにかけ、火を着ける。そしてドリップしていくようにしている。
何で? 言われると困るのだけれど、水もガスも無駄なく使えて、CO2の排出も少なくて済むと思っているからだ。節約といえばその通りなのだけれど、今、地球全体で考えなければいけないことは、本当に一人一人の小さなアクションの積み重ねではないか、と思っている。カップ一杯の水も大切にするマインドはこれからの時代持っていたいものだ。
バイオマスプラスチックは環境へのアクションになる!
バイオマスプラスチックのこと、そろそろ読者もかなりわかってきたと思うけれど、OPENERSが着目している点は、サスティナブルな現状にとってもマッチしていること。肥料などに使われることはあるけれど、調理に使われた廃油や松材を原料にパルプを作るときに副成される「トール油」といった非可食性の原料を使うことだ。第二世代のバイオマス樹脂といわれ、地球に優しい原料というわけだ。バイオマスプラスチックは物性の弱さも石油由来となんら変わりないことも魅力の一つ。今後の使い方次第では発展性もあり、環境に配慮しながら、今までと変わらないものができるということだ。さらには今までにない好循環を1から作っていくために、他のリサイクルシステムを害さないのもありがたい話だと思う。
バイオマスプラスチックを進化させたマスバランス方式。
バイオマスプラスチックを調べていくとマスバランス方式という言葉が出てきたので、少し説明をしたいと思う。
マスバランスとは投入した資源量と生産した物質量の収支のこと。すでに紙、パーム油、電気など多様な業界では使われている概念。マスバランス方式をバイオマスプラスチックに置き換えて考えてみよう。例えば、バイオマスポリプロピレン(PP)の原料であるプロパン100トンのうち、10%の10トンがバイオプロパン、残りが石化由来プロパンの場合、生産された全PPのうちバイオプロパン10トン分については「100%バイオマスPP」と見なすことができるというもの。
マスバランス方式により、可視化できるようになる。入口と出口が分かりやすければ、わかりやすいほど、明解なシステムができるというわけなのだ。マスバランス方式ではトレーサビリティ(追跡可能)が確保できている。
マスバランス方式では原料投入量と同原料を用いた製品の出荷量は厳密に管理されなければならない。そのため原料から包装材加工まですべてのバリューチェーンで第三者認証機関から監査を受ける。ユーザーも「認証されたバイオマス製品」を安心して手にすることができる。
また、このやりかたであれば、新素材のために新しい工場を作る必要もなく、既存の工場で作ることが可能で環境負荷も少なく、初期投資も少なくできるという利点がある。商品の金額にも影響するし、バイオマスプラスチックを作るために工場を作らなくて良いので、環境負荷も軽減できる。環境にとってもとても頼もしいシステムだ。そもそも小さな専用工場を作ってもエネルギー効率も悪く、いかにエネルギー効率のよい(つまり環境負荷も低い)既存の工場を使えるのかというのは重要なポイントなのだ。 意外に思うかもしれないが新しい小さな工場を作っても結局環境にとってはためにならないということもある。
これからのプラスチックは「バイオマス」といえる世界に。
その商品を手にしたときに「バイオマスプラスチック」と認証されているだけで、自分は地球環境に良いことをしている。環境に良いものを買っているという意識が生まれるはずだ。買う側としても、ひとつひとつのことに目を配り、自ら実践していく。それがいつの間にか環境に少しでも手助けをしていることにつながる。これこそが本来のサスティナブルではないだろうか?
グローバルな意識を持っていると思うOPENERSの読者に今回の取材を通して、最後に一言。今心に置いておいて欲しいことは「自分のひとつのアクション(行動)が地球の命を1秒長くする」ということだ。この地球の命を長くすることは自分の健康にも確実につながっているし、自分の健康や環境を考えることは確実に地球環境のためになっているのだ、ということ。サスティナブルとは循環というだけではなく、相互関係こそが大切になる。
バイオマスプラスチックを選ぶ、それもまたひとつの大切なアクションなのだ。