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2026年1月28日
『攻殻機動隊』が描いた“未来”は実現したか? 新春に開催される大規模展覧会の全貌が明らかに
攻殻機動隊展 Ghost and the Shell|GHOST IN THE SHELL THE EXHIBITION
電子音楽とデジタルクリエイティビティの祭典MUTEK JPが渋谷ヒカリエで開催され、盛況のうちに幕を閉じた。その会期中に注目を集めたのが、『攻殻機動隊』の大規模展覧会についてのカンファレンスだった。劇場公開から30年を経た今なお高い人気を誇る本作の世界観を、現在のテクノロジーでどこまで実現できるのか? 本展覧会を企画した4名の登壇者によって解説がなされた。
Text by KAWASE Takuro
魂のありかを問う哲学的サイバーパンク作品
士郎正宗氏による漫画を原作とし、押井守監督によって映像化された『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が劇場公開されてから今年でちょうど30年。本作では脳をネットに繋ぐ“電脳”や、体を機械に変える“義体”が当たり前になった近未来が舞台となっている。サイバーパンク映画の傑作『ブレードランナー』にも通じる世界観の中で本作が取り上げたのは、人間の自我や意識はどこに宿るのかという哲学的な問いであった。
多岐に渡るアニメ作品群を横断する初の試み
多くの人にとってなじみが深いのは押井守監督作であろうが、『攻殻機動隊』には神山健治監督による『S.A.C.』シリーズや、黄瀬和哉総監督による『ARISE』シリーズといった派生的な作品が数多く、設定やキャラクターデザインがそれぞれ異なっている。今回の展覧会の大きな意義は、「今までに諸事情により世に出せていなかった版権も含めて1000点以上の原画を展示し、網羅的かつ横断的に鑑賞できる場を設けたこと」だと講談社のプロデューサー笹氏がコメントした。
作品世界を通じて考えるテクノロジーと倫理
次に森ビルのクリエイティブディレクター桑名氏は、「本展覧会の英語タイトルがGhost “in the” shellではなくGhost “and” Shellなのか、という点にも注目して欲しい」と語る。それは心身二元論を唱えているではなく、人と機械、現実と仮想、個と集合の境界が溶け合う世界で、私たちがどこにGHOSTとSHELLを感じるのか?という問いかけだ。アニメの舞台となる2029年よりも先に女性総理が誕生している今だからこそ、「未来の到達点と現実の答え合わせ」ができるように特別な仕掛けを用意している。
会場となるTOKYO NODEでネットの海を泳ぐ
その仕掛けのひとつが、ヴィジュアルアーティストの松山氏が手がけた立体的データベース空間だ。そこでは『攻殻機動隊』の重要モチーフである電脳世界=ネットの海を泳ぐような感覚が味わえるという。「TOKYO NODE内のドーム状スペースを活かし、まるで自分自身がハッカーになったかのようなイマーシブな体験ができると思います」と説明。ちなみに裏テーマはDIGだそうで、鑑賞者それぞれが好きなキャラクターやテーマをそれぞれ深掘りできるようになっているとのことだ。
ARグラスを装着して電脳通信を擬似体験!
最大の山場が最新のAR技術による体験型展示だ。「電脳VISIONは音声ガイドのように、別料金で体験いただくコンテンツになります。電脳VISIONを装着することで来場者は簡易的に電脳化される設定です。電脳通信を介して、厳選した名シーンをタチコマが解説してくれます。タチコマファン必見のコンテンツになります。電脳VISIONにより攻殻アニメシリーズを全部見たことのない人でも、全体像がなんとなくわかるようになり、また展覧会のテーマであるゴーストとは?シェルとは?を考えるきっかけになることを目指しています」とKDDI砂原氏の説明でカンファレンスが締めくくられた。
知的好奇心を刺激するテック空間に身を委ねよう
世界でヒューマノイドの開発競争が激化し、ビジネスシーンでAIを活用することが当たり前となっている現在。改めて、テクノロジーの進化を攻殻機動隊の世界と照らし合わせてみると、たくさんの発見があることだろう。再開発によって生まれ変わった虎ノ門の中でも、特にエンタメ方面に強い虎ノ門ヒルズステーションタワーというロケーションも作品世界とリンクし、気分が高揚するはずだ。
攻殻機動隊展 Ghost and the Shell
会期|2026年1月30日(金)〜4月5日(日)
会場|TOKYO NODE GALLERY A/B/C
主催|攻殻機動隊展 Ghost and the Shell 製作委員会
問い合わせ先
攻殻機動隊展 Ghost and the Shell
https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/