特集|天国にもっとも近い島、モーリシャス
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2015年2月10日

特集|天国にもっとも近い島、モーリシャス

特集|インド洋に浮かぶ“天国にもっとも近い島”

モーリシャスを味わい尽くす(1)

アフリカ大陸の東、1800キロのインド洋。ここに「天国にもっとも近い島」または「インド洋の貴婦人」と称される美しい島がある。沖縄本島よりやや大きな領土を有し、周りを珊瑚礁に囲まれたモーリシャスだ。トム・ソーヤの冒険の著者、マーク・トウェイン曰く「神は最初にモーリシャスを創り、モーリシャスを真似て天国を創った」。今回はグルメからアウトドア好きまでを虜にする、この島を味わい尽くす旅。心の準備ができたら、早速“天国”へ足を踏み入れてみよう。

Photographs by MATSUI HiroText by OBARA YukiEdited by TANAKA Junko (OPENERS)

神は最初にモーリシャスを創った!?

歴史的には16世紀にオランダ、18世紀にフランス、そして20世紀にはイギリスに牛耳られた国。植民地の時代は1968年の独立までつづいた。19世紀に奴隷制度が廃止されてからは、インド系移民が多数入植し、現在もモーリシャスの人種はインド系が70%近くを占める。

アフリカ系黒人とヨーロッパ系白人の混血であるクレオール系が30%弱、そのほか中国系、アラブ系、ヨーロッパ系の人びとが住み、宗教も多様だ。しかし多宗教国家によくみられる紛争はなく、調和が保たれているのがモーリシャスの特徴だ。島中にヒンズー教、キリスト教、イスラム教の寺院、教会、モスクがあり、みごとに共存している。

モーリシャス 02

ポートルイスで見つけた中国寺院

首都ポートルイスの市場をのぞくと、多人種のハーモニーをあらためて感じる。そこには彩りの鮮やかな野菜、果物、魚介類、肉類が並び、インド系、アフリカ系、ヨーロッパ系、アジア系の料理に欠かせない食材やスパイスがすべて手に入る。さらに近隣の島、マダガスカル産のバニラやクローブ、胡椒なども豊富にそろい、小物や服飾品などの生活必需品も置いてある。土産を買うにも便利かも知れない。フランス、イギリス植民地時代の影響か、ポートルイスには国立競馬場(シャン・ド・マルス国立競馬場)があり、なんとこれが世界で2番目に古い競馬場というから興味深い。

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モーリシャスの台所、中央マーケット

モーリシャスを訪ねたら、ぜひお薦めなのがカゼラ・ネイチャー&レジャーパークの人気アクティビティ「ウォーク・ウイズ・ライオン」だ。アフリカ大陸で親の育児放棄によって孤児となったライオンが、ここに引き取られ育てられている。いわば“育ての親”なので、飼育員の同行のもと、彼らの指示に従えば安心して一緒に歩けるし、写真撮影もOK。頭部以外であれば体に直接触れられるので、ほかでは味わえない体験が待っている。

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島の西部地域に位置する「カセラ・ネイチャー&レジャーパーク」

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出発前には飼育員から注意事項が伝えられる

特集|インド洋に浮かぶ“天国にもっとも近い島”

モーリシャスを味わい尽くす(2)

“インド洋の貴婦人”のおもてなし

モーリシャスには天然の美しい白砂が島の随所にある。特に島の北東部に位置する、ベルマール半島のビーチは秀逸だ。そのベルマール半島に位置するのが、ワン&オンリー・ル・サンジェラン。1975年にオープンしたモーリシャスを代表する老舗リゾートである。40年近くヨーロッパの富裕層やセレブリティーに愛されつづけているこのリゾートは、ゲストの半数がリピーターだという。

「モーリシャスに行く」のではなく、「ワン&オンリー・ル・サンジェランに行く」。まさにデスティネーション・リゾートである。ここからはそんなル・サンジェランの魅力を紐解いてみたい。インド洋の貴婦人はどのようにゲストをもてなすのか?

ちなみにリゾート名は、フランス人作家ジャック=アンリ・ベルナルダン・ド・サン=ピエールが1787年に発表した『ポールとビルジニー』に登場する、サン・ジェラン号という船に由来する。嵐に合い、モーリシャスの近くで沈没したまま、いまも海底に眠っているとか。

モルディブ、ドバイ、ケープタン、ロスカボス(メキシコ)、バハマのワン&オンリー同様に、ワン&オンリー・ル・サンジェランでもブランドの「ラグジュアリー」を体現するスペース、プライバシー、テイラーメード・サービスが約束されている。いや、むしろワン&オンリーの起源でもあるこのリゾートが、ブランドのDNAを創り上げたというべきだろう。

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「ワン&オンリー・ル・サンジュラン」のエントランス

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かのネルソン・マンデラ氏も利用していた「ラ・ヴィラ」へとつづく専用通路

総面積60エーカーの広大な敷地に14の「オーシャンスイート」、148の「ジュニアスイート」、そして故ネルソン・マンデラ氏もたびたび滞在したという「ラ・ヴィラ」(1棟)の163室を有する。メイン棟のエントランスからつづくロビーエリアは、火山岩を積み上げた白塗りの壁と高い吹き抜けが印象的なモーリシャススタイルだ。

メイン棟から左右に分かれる客室棟はコロニアル風。全室にコバルトブルーの海を望むバルコニー(2階)、またはガーデン越しにビーチにアクセルできるポーチ(1階)が備わり、24時間対応のバトラーサービス付きだ。インテリアはオランダとフランスのコロニアル・デザインが取り入れられ、ヨーロッパ風のエレガントで落ち着いた居心地のよさを提供している。2週間分の荷物は軽く収納できるようなウォークイン・クロゼットが完備されているのも、長いバカンスが当然のヨーロッパ人ゲストのニーズを捉えている。

敷地内でバカンスが完結するゲストが多いのは、充実した食事とアクティビティーのなせる技。オールデイ・ダイニングの「ラ・テラス」では、毎食でも飽きないほど種類豊富なビュッフェが用意されており、和食コーナーもある。ラ・テラスはプールサイドに位置し、心地よいインド洋の潮風のなかで食事を楽しめる。

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「ラソイ by ヴィネート」のモダン・インディアン料理

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潮風のなかで味わう「ヴィネート・バティア」の料理は格別

「ラソイbyヴィネート」では、ミシュランスター、ヴィネート・バティアのモダンインド料理を。海辺に浮かぶ南国ムードにあふれるラソイでは、ワインとともに楽しむインドスタイルのタパスのテイスティングメニューが外せない。ラソイの一角にあるシーシャ(アラブスタイルの水たばこ)コーナーも人気。スパイシーな食事とシーシャは相性がいいようだ。

そしてシグニチャー・レストランの「プライム」では、オーストラリア産の最高級アンガス和牛と新鮮なシーフード、有機栽培の農産物を使った極上のグルメ体験を供する。プライムにはモーリシャス初の高級ステーキ・レストランという一面もあり、地元のゲストも島の遠方からやってくるそうだ。そして知る人ぞ知る心憎いアイテムが、「プライムボックス」という名のプライム特製のお弁当。ビーチや客室など好きな場所にデリバリーしてくれる。オシャレなボックスに、ちゃんとしたカトラリーもセットされた贅沢なランチボックスだ。いち押しメニューはハンバーガー。フレンチフライ、サラダ、デザートがついている。

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「Hot&Coldツナ刺身」は人気メニューのひとつ

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「プライム」では世界各国のワインも楽しめる

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好きな場所で楽しめるのが魅力の「プライムボックス」

17世紀、オランダ人による植民地化とともにサトウキビ栽培がはじまったモーリシャスでは、いまもサトウキビが主な農産物だ。そして、サトウキビを原料にしたラム酒はモーリシャスの名産品のひとつ。プールバーではモーリシャス産のラム酒を数多く用意され、ラムベースのカクテルも豊富に揃う。ここの名物スタッフ、バー・マネージャーのダヤアンデン・ヴァライテンは、創業当時から在籍するベテランだ。ラム酒を知り尽くしており「ローカル・ラムカクテルの魔術師」とも呼ばれている。オリジナルのラム・カクテルは10種類以上あり、なかでもお薦めは「Feel the Rock」と「The Moris」だ。

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さまざまなラムを提供してくれるプールバーのスタッフ(右から2番目がダヤアンデン・ヴァランテン)

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ちなみにモーリシャスは日本から直行便が無いため、空港でお土産にラム酒を買って帰ることができない。乗り継ぎ時に経由地で没収されてしまうので注意が必要だ。


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モーリシャスを味わい尽くす(3)

セレブを魅了する充実のアクティビティー

食の楽しみにくわえ、ワン&オンリー・ル・サンジェラン滞在中には、ぜひスポーツアクティビティーに興じてほしい。嬉しいのはその大半は無料で利用できるところ。ウォータースポーツは、水上スキー、カヤック、カイトサーフィン、ホビーキャットなど。カイトサーフィンは日本でも徐々に人気を博しているが、モーリシャスではカイトサーフィンの国際大会が開催されるほど人気のスポーツだ。

また夜間照明付きのテニスコートが5面あり、ゲーリー・プレーヤー設計の9ホールのゴルフコース(海超えのホールもあり、それほど侮れない)とともに、プレイは何度でも無料で楽しめる(ラケット、ボール、ゴルフセットなど用具のレンタルと、ゴルフのカートだけ有料)。テニスもゴルフもスタッフからレッスンを受けながら、一緒にプレイすることもできる。

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コースはつねに最高のコンディションを保っている

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ゴルフコースは伝説のプレイヤー、ゲーリー・プレーヤーが設計

先述のバーと同様、このゴルフコースにも名物スタッフの存在が光っている。キャディー・マスターのラメッシュ・シバルックは、このリゾートが完成する前の1973年から、庭師としてすでに働きはじめていた。そして創業時の1975年には、その人柄と機転のよさが認められ、ゴルフコースのキャディーとなったのだ。いまでは、彼と一緒にプレイするのを楽しみにしているゲストもいるほどの人気者で、このコースを設計したゲイリー・プレイヤー本人ともプレーをしている。

また有料ではあるが、ゲーム・フィッシングもお勧めのアクティビティーの一つだ。船はチャーターで専門スタッフ(どう考えても元漁師に見える)が手伝ってくれるので初心者でも楽しめる。2009年にさかのぼるが、釣り好きなロバート・デニーロは、ワン&オンリー・ケープタンのオープニングパーティーに出席する前、ここに立ち寄って、インド洋でのゲーム・フィッシングを大いに楽しんだという。

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専属スタッフのアドバイスを受けながら、本格的なゲーム・フィッシングも体験できる

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ビーチで過ごすゲストももちろん多い。ビーチには赤と青の旗が所々に立てられており、赤は「Don't Disturb(お構いなく)」で青が「Service Please(給仕をお願いします)」を意味する。ビーチのスタッフは、赤い旗のゲストには声をかけないのがルールで、青い旗のゲストには飲み物のオーダーやサングラス磨き、コールドタオルなど、頻繁にさまざまなサービスを提供する。一見どうってことないサービスに見えるが、これほど気の利いたサービスはないといえるのではないだろうか。

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ユニークなサービスのひとつ、赤と青の旗の意味は……?

ワン&オンリー・ル・サンジェランのヘルス&ビューティーも見過ごすなかれ。ほかのワン&オンリー同様に、世界的ボディアトリスト(足病治療士)、バスチャン・ ゴンザレスのペディ:マニ:キュア スタジオがあり、手足の爪をピカピカ、つるつるに仕上げてくれる。ニューヨークでも予約は2週間待ちというから、ワン&オンリー・ル・サンジェラン滞在中の「TO DOリスト」筆頭項目ではないだろうか。

さらにESPAとのパートナーシップで開発されたワン&オンリー・スパのメニューは、各ゲストのニーズに合わせて、Unwind(リラックス)、Sestore(回復)、Elevate(上昇)、3種類のアプローチで施術プログラムを用意する。

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バスチャン・ゴンザレスのペディ・マニキュアスタジオ

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静かなスパ棟のプールは、ゆったりと過ごしたいときに

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緑に囲まれた中庭で受けるスパ・トリートメントは格別

そして、2013年にデビューしたのが、伝統中国医学の専門家で施術師でもあるフランセス・ミラレスが中国医学をもとに開発した「ハーモニア」。モーリシャスで唯一の本格的なウエルビーイングプログラムだ。低脂肪、低糖、小麦・乳製品を控え酸化を押さえる食餌療法(グルメメニューに腕をふるうシェフが調理するため、その美味しさは保証付き)にくわえ、鍼や頭蓋仙骨療法でエネルギーのバランスを調整する。

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さらに理学療法と整骨療法で体の柔軟性を補い、中国漢方で体の不調和を治癒する一方で、中国由来のマッサージや西洋の技術を取り入れたマッサージ、トリートメントで解毒を促し、太極拳・瞑想という中国の伝統的なテクニックで体のバランスを気の流れを整えるという、徹底したプログラムだ。この究極のホリスティック体験は7泊からのパッケージだが、3泊から利用できるハーモニア・アラカルトメニューもあるので、一部だけでも体験して体のバランス調整を図ってみたい。

One&Only Le Saint Géran|ワン&オンリー・ル・サンジェラン

Pointe de Flacq, Mauritius

Tel. +230-401-1688

http://lesaintgeran.ooresorts.com/ja/

           
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