下描きなしで心のままに描かれたドローイング

エルメス、ティファニーの広告などで人気のブラジル人ファッションイラストレーター、フィリペ・ジャルジン。1968年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロに生まれた彼は子どもの頃からサーフィンに親しみ、海へと通う。そして、音楽やアートなどのカルチャーの交差点でもあったビーチで出会ったアーティストやボヘミアンたちの影響を受けながら、アートの道へと進んだのだ。

キャリアのきっかけとなったのはルイ・ヴィトンが制作してい旅の絵本シリーズ『carnet de Voyage』のリオ・デ・ジャネイロ版の挿絵を担当したこと。その後も各国版の雑誌『ヴォーグ』やさまざまなブランドとのコラボレーションを展開。現在は、サーフボードを抱えて世界中の夏から夏へといい波を求めながら旅をつづけているという。

そんなフィリペが描く作品は、作品は真っ白な画面に自由自在に伸びるライン、下描きなしで心のままに描かれたドローイングが特徴。ほとんどは写生のスタイルがとられ、「旅」「ファッション」「ブラジル」の3章で構成された本書では、フィリペが世界各地で出会った人々の表情や風景が収められた。このほかにもファッションショーのバックステージでとらえたモデルたちの自然な姿、故郷であるブラジルの豊かなカルチャーが描かれている。

10年間の彼のアーカイブから約100点のドローイング作品と、そして初公開となる写真作品約60点を収録された本のなかには、エルメスやルイ・ヴィトン、パリのシャルル・ド・ゴール空港へ寄稿した作品も再録。フィリペ・ジャルジン作品の全貌を見ることができる。

いきいきとした手の運びが感じられるラインから生み出される瞬間をまるでスナップショットのように切り取ったみずみずしい作品群とセンス溢れるフォトグラフィ。世界が注目するアーティストのおおらかな空気をまとった作品は、いつでも心に“さわやかな夏”をもたらしてくれる。

『スケッチ＆スナップ』
著者│フィリペ・ジャルジン
仕様│B5判、168ページ
発行│六耀社
価格│2415円
2013年8月下旬発売予定
http://www.filipejardim.com/