BOOK|『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』
BOOK|ベストセラー『フリー』の著者が予期する次なるパラダイムシフト
『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』
雑誌『WIRED(ワイアード)』US版の元編集長、クリス・アンダーソンの最新作『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』が、NHK出版より刊行された。インターネット上の無料経済モデル「フリーミアム」を提唱した『フリー』の大ヒットが記憶にあたらしい彼だが、本書ではいったい何を見せてくれるのか?
Text by IWANAGA Morito(OPENERS)
「メイカームーブメント」で21世紀の製造業が変わる!
「この10年で、ウェブの世界でさまざまな産業に大変革が起きた。これからの10年は、それがリアルな製造業で起こる」と著者であるクリス・アンダーソンは述べる。
これまでの製造業は、技術とコストを集約し大量生産をおこなうスタイルで、新参者に開かれた産業ではなかった。しかし21世紀には、オンラインで個人が大企業とおなじ製造能力を手に入れることができるようになったという。必要な資金はクラウドファンディングで集めればいいし、ウェブサイトを立ち上げて世界に販売できる。もはやアイデアとパソコンさえあれば、製造業を立ち上げられる時代が来ていることを、現実に感じさせてくれる一冊だ。
「デスクトップ工房 四種の神器」の実践例を紹介
3Dプリンタ、CNC装置、レーザーカッター、3Dスキャナ。これらを「デスクトップ工房 四種の神器」と称し、DIYの可能性を飛躍的に広げてくれるツールとして紹介。「メイカー」たちは、具現化したアイデアをウェブ上で互いに共有し、既存のマーケットにはないものを次々と生み出していく。かつて、スティーブ・ジョブズがパーソナルコンピュータを通して世界を変えたように、「デジタルな製造手法」が世界を変えていく。そして、そこに先進国の未来がある――。
本書では、「メイカームーブメント」から見える「これからの10年」を描いていく。ページをめくるごとに、あたらしい時代の足音が近づいてくるようだ。
Chris Anderson|クリス・アンダーソン
『ワイアード』US版 元編集長。インターネットにおける物品販売の概念「ロングテール」のコンセプトを、同誌上ではじめて世に知らしめ、その著書『ロングテール』は世界的ベストセラーとなった。2007年には米『タイム』誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選出。また、インターネット上の無料経済モデル「フリーミアム」を取り上げた『フリー』は、世界25カ国で刊行され、日本でもベストセラーに。近年、オープンハードウェア企業「3Dロボティクス」を立ち上げ、CEOとしてその手腕をふるう。
『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』
著者|クリス・アンダーソン
翻訳者|関 美和
発行者|NHK出版
サイズ|四六判
ページ数|320ページ
価格|1995円
NHK出版
Tel.03-3780-3319