BOOK|『菊池武夫の本』~日本一カッコイイ73歳!
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2014年12月26日

BOOK|『菊池武夫の本』~日本一カッコイイ73歳!

BOOK|『菊池武夫の本』

本人初となる書き下ろし

日本一カッコイイ73歳!

デザイナー人生50年。菊池武夫氏こそ、日本のメンズファッションを築いた巨人だと申し述べて誤謬(ごびゆう)はあるまい。彼の過去、現在、未来、創作活動からプライベートまでをリアルに綴った、自身による初の書き下ろしが刊行された。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)

菊池武夫のエッセンスがぎっしり

ファッションのいわゆる“業界内”では、「タケ先生」の名で親しまれている菊池武夫氏。タケ先生を知るひとは一様に「すごいひと」「真似しようにもできない」と評し、菊池氏がいかにスペシャルな存在であるかをこちらに伝えようとするのがつねである。いわば日本のファッションにおける大物のなかの大物。そんな菊池氏が、自身の考え方を本の形で残したい、という理由で書き下ろしたのが本書である。

巻頭はカラー印刷ではじまる。衣装制作の広告ビジュアル、メンズ ビギのポスターやコレクション写真など、貴重なフォトアーカイブがズラリ。そして子ども時代、青年時代など、菊池氏のプライベートの来歴も詳細に記されている。

そのほか触発された人びと、クリエイションについて、私生活、ビジネス、座談会や寄稿など、コンテンツは非常に充実。あらゆる角度から菊池武夫という人物を眺めることのできる構成となっている。

「情熱を持って現実を生きる、その実感が常にあるか。もし目標がないことを自覚してしまったら、それは恐ろしいことだ。幸いなことに、私にはまるで30代の青年のように、掲げているいくつかの、まだ実現していない目標がある」という菊池氏。ファッションをふくめたライフスタイルそのものに閉塞感が否めない昨今であるが、一デザイナーとして、クリエイションとビジネスの成功を追い求めてやまない姿勢が、我われを叱咤激励してくれる。これほど熱くてカッコイイ73歳は、そういないだろう。

菊池氏と同時代を生きるひと、前を行く先輩として憧れ続けるひと、タケオキクチのファンのひと、ファッションの道を志す若いひと――そんなひとたちにぜひ手に取ってほしい一冊である。

菊池武夫の本 02

『菊池武夫の本』

著者|菊池武夫

発行|マガジンハウス

価格|2625円

           
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