ART|『幸福はぼくを見つけてくれるかな?』展
ART│現代の問題と向き合うアーティストの映像作品などを紹介
『幸福はぼくを見つけてくれるかな?-石川コレクション(岡山)から10の作家』
私たちのいま取り巻く問題と向き合う現代アーティスト10組の作品を紹介する『幸福はぼくを見つけてくれるかな?-石川コレクション(岡山)から10の作家』。4月19日(土)から6月29日(日)まで、新宿区の東京オペラシティ アートギャラリーで開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
視点をずらしたり置き換えたりすることで見えてくるあたらしい世界
コンセプチュアルな作品を収集する岡山県出身のコレクター、石川康晴(いしかわ・やすはる)氏のコレクションより、国際的に注目を集める10組のアーティストを紹介する『幸福はぼくを見つけてくれるかな?-石川コレクション(岡山)から10の作家』展。私たちを取り巻きながらも、つい見過ごしてしまいそうな現代の問題に立脚した制作をつづけている10人のアーティストの作品が取り上げられた。
会場には、ミルチャ・カントル、オマー・ファスト、ペーター・フィッシュリ、ダヴィッド・ヴァイス、ライアン・ガンダー、リアム・ギリック、ピエール・ユイグ、小泉明郎、グレン・ライゴン、島袋道浩、ヤン・ヴォーの映像作品やインスタレーションなどを展示。
なかには、さまざまな分野から引用した言葉をもちいた作品で知られグレン・ライゴンが、アフリカ系アメリカ人J・ボールウィンのエッセイ『村の異邦人』を引用し、炭塵で繰り返し書き重ねたドローイング『ストレンジャー#67』などアイデンティティを問いかけるような作品も。また、ドイツ学生が日本語の歌を歌詞の意味もわからないままに歌いつづける島袋道浩の『わけのわからないものをどうやってひきうけるか?』など、ユーモラスな作品まで多彩な現代アートがセレクトされた。
都市と自然、個人のアイデンティティと歴史、アートとは何かなど、アプローチもさまざまに、個人的経験を観る者が自身に置き換えて共有できるような作品たち。日常に眼を向けながら、その視点をずらしたり置き換えたりすることで、私たちに新しい世界の見方を示してくれている。