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ART
2015年2月2日
ART|原美術館で『ミヒャエル・ボレマンス:アドバンテージ』
ART│人間の宿命を描き出す画家による日本初の個展
原美術館で『ミヒャエル・ボレマンス:アドバンテージ』
ベルギーを代表する現代美術家ミヒャエル・ボレマンス(Michaël Borremans)による、日本の美術館での初個展『ミヒャエル・ボレマンス:アドバンテージ(Michaël Borremans: The Advantage)』。1月11日(土)から3月30日(日)まで、品川区の原美術館で開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
自選による30点や映像作品も紹介
不透明な現代社会を生きる人間の宿命を描き出す絵画で知られるミヒャエル・ボレマンスは1963年、ベルギー生まれ。30代に入った1990年代半ばより、写真による表現から油彩へと転向。以来、先鋭的な美術館やアートスペースで個展を開催し、その謎めいた世界が多くのひとを魅了してやまない。
ディエゴ・ベラスケスやエドワール・マネら近世・近代絵画の描写に倣い、自国のシュルレアリスムの遺伝子も受け継ぐと評される。作品は制作数に対し、完成数が圧倒的に少ないことでも知られている。
かつて原美術館を訪れたボレマンスは、その歴史ある建築とたたずまいに胸を打たれ、個展を熱望していた。その願いが実現した本展では、初期から近作まで自選による30点を展示。さらに、近年制作をはじめた映像作品も紹介。ドキュメンタリー映像『A Knife in the Eye』作品が1日3回上映される。
時間的、空間的に現実から隔離され、自身の儀式や作業にいそしむ人々をとおし、普遍的な人間の姿を描き出すボレマンス。静けさのなかに漂う謎めいた気配、深い思索へといざなう作品を日本で観賞できるはじめての機会となっている。