ART|写真家坂田栄一郎氏による『江ノ島』を原美術館で初公開
ART│海岸に置かれたモノから浮かび上がってくる若者たちの個性
写真家 坂田栄一郎氏による『江ノ島』を原美術館で初公開
ポートレートの大家、坂田栄一郎(さかた・えいいちろう)氏による“人のいないポートレート”を中心としたシリーズ『江ノ島』が7月13日(土)から9月29日(日)まで原美術館で初公開される。
Text by YANAKA Tomomi
鮮烈な色彩とコントラストで焼き付けられた約40点の写真群
1988年の創刊から雑誌『アエラ』の表紙のポートレートを手がけている写真家の坂田栄一郎氏。2004年には東京と写真美術館で個展『PIERCING THE SKY-天を射る』を開催し、大きな話題を集め、翌年の2005年には土門拳賞と日本写真協会賞・作家賞も受賞している。
坂田氏が1990年代後半から16年間にわたり通い続けた江ノ島海岸。夏を謳歌する人たちが海岸に持ち込んだ鮮烈な静物写真と、生命力あふれる若者たちのポートレートからなる『江ノ島』が、原美術館に初登場する。
この連作で多くの写真に写し出されるのは、真夏の焼けた砂、広げられたカラフルなレジャーシート、無造作に置かれたタオルやサンダル、ポーチなどの個人の身の回りのもの、さらに飲みかけのドリンクやタバコといった、海で遊ぶ若者たちが砂浜に残したものたち。そこから見えてくるのは個性と、現代の日本の姿だ。
会場には、8×10インチや4×5インチの大型フィルムで捉えられ、鮮烈な色彩とコントラストのイメージに焼き付けられた写真40点を展示。写されたものたちが持ち主の個性や生活を語る“人のいないポートレート”のほかにも、坂田氏の求めに応じてカメラの前に立った、エネルギー溢れる若者たちのポートレートも並べられる。
「若者たちの姿からポジティブなエネルギーを感じて、複雑で先の見えない時代を生きるみんなに、元気になってほしい」と語る坂田氏。魂をこめて対象と向き合いつつ、鋭い観察眼で時代をとらえつづけてきた彼の未来への願いが、鮮烈な静物写真とポートレートに込められている。
『坂田栄一郎──江ノ島』
会期│7月13日(土)~9月29日(日)
※月曜休館。ただし7月15日(月・祝)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館し、翌日は休館。
時間│11:00~17:00 ※水曜は~20:00 (最終入館は閉館の30分前まで)
会場│原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
Tel.03-3445-0651
入館料│一般1000円、大高生700円、小中生500円