ART|『Sculpted Word - Sclpted Figures』展
ART│“永遠”を感じさせる黒鉛で表現した作品を展示
マユコ・オノ・グレイ、マーク・グリーンワォルト『Sculpted Word - Sclpted Figures』
ヒューストンを拠点に活動する画家、マユコ・オノ・グレイとその師であるマーク・グリーンワォルトによる日本初の展覧会『Sculpted Word - Sclpted Figures』が、6月15日(土)から28日(金)まで、神宮前のYellow Cubeで開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
ことわざにインスピレーションを得たカリグラフィ
岐阜県出身で高校卒業後にアメリカへ渡り、アートを学んできたマユコ・オノ・グレイ。現在は、書道経験を生かし、黒鉛を用いた作品を発表。現在はテキサスのメインランド大学での臨時美術講師や画廊ディレクターとして活動している。そして、マーク・グリーンワォルトはテキサス州ダラス出身。2000年から現在までメインランド大学の常勤講師として勤め、夢の世界を引き出してきたような作風で知られている。
ただの師と弟子というだけではなく、メキシコ・オアハカ大学での共同壁画を創作するなど、多彩な活動をともにしているふたり。日本ではじめての開催となる今回の展覧会では、ともにそれぞれのアイディアを黒鉛(グラファイト)をつうじて追求する。
グリーンワォルトは、彫刻のように描写された人物の作品を展示するほか、オノはことわざにインスピレーションを得たカリグラフィを発表。アメリカに移住した自分のアイデンティティを模索しながら、1本でつながった線で描かれたダイナミックな文字は、濃密に絡み合い本来の文字を覆い隠してしまうほど。しかし、そこからは愛や彼女自身がこれまで歩んできた道、そして人生観などを感じることができるのだ。
4種類ある純正炭素のひとつであり、元素が永続する黒鉛を使用した今回の展覧会。永遠を感じさせる黒鉛は、宇宙の歴史のなかのほんの一瞬である私たちの人生の短さを表現するとともに、短いゆえの輝きを感じさせる作品に仕上がっている。