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ART
2014年12月3日
ART|東京都写真美術館で『写真のエステ-五つのエレメント』展
ART|「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」を手がかりに写真の美を探る
東京都写真美術館で『写真のエステ-五つのエレメント』展開催
所蔵する作品のなかからエレメントに沿った作品が選ばれ、写真の美を探る『写真のエステ-五つのエレメント』展が7月7日(日)まで恵比寿の東京都写真美術館で開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
美を巡る数かずの表現に目を向け、そのたたずまいを味わい、趣を愛でる
これまでも毎年テーマを設けてきた東京都写真美術館が今年のテーマとして掲げたのは「写真のエステ」。18世紀ドイツの哲学者が唱えた「感性学」を意味する「エステティカ(Aesthetica)」という学問は近代日本に伝来、「美学」として訳された。現在一般に普及している身体を美しくする意味だけではなく、エステは美しいと感じる感性をはぐくむ術でもあるのだ。
今回の展覧会では「写真の美しさはどこにある?」をキーワードに、2万9000点を超える豊富な東京都写真美術館のコレクションのなかから「光」「反映」「表層」「喪失感」「参照」というエレメントを手がかりにして、19世紀初期から現代写真までをずらりと紹介。作品をたどりながら、美を巡る数かずの表現に目を向け、そのたたずまいを味わい、趣を愛でることができる。
会場には、モノクロームの印画紙の表層に色彩をのせる“化粧”を施すことで外国人を魅了した、エキゾチックな明治期の横浜写真や、実在するひとになりきった写真作品で知られる森村泰昌がピカソに扮した『なにものかへのレクイエム』などを展示。東京都写真美術館が誇る作品に触れることができる。
写真がもつ“美”の豊かな広がりを感じることができる『写真のエステ-五つのエレメント』展。写真のエステは、心のうちにいままでと異なる感性のチャンネルを開いてくれることだろう。