ART｜藤原新也が1970年代に撮り下ろした作品を展示する『夢つづれ』
ART｜1000部限定の写真集『COLORS』出版記念
藤原新也が1970年代に撮り下ろした作品を展示する『夢つづれ』
写真家の藤原新也（ふじわら・しんや）による写真展『夢つづれ』が、4月29日（月・祝）まで代々木のVILLAGEで開かれている。1970年代に撮り下ろされ、幻想的に蘇った写真世界をいま、あらためて堪能したい。
Text by YANAKA Tomomi
絢爛なセットアップと幽玄な森林のなかに横たわる女性
1972年の処女作『印度放浪』で衝撃的なデビューを飾り、77年には木村伊兵衛写真賞を受賞した、日本を代表するフォトグラファー、藤原新也。昨年パリのフォトサロンに出品して話題を呼んだ1000部限定の写真集『COLORS』の出版を記念した写真展が開催中だ。
この『夢つづれ』は1970年代後半に撮影された、藤原新也にとっては実験的な写真群。彼はこの撮影のため、大正や昭和初期の着物のハギレを京都や東京の骨董商から買い集め、10着の着物と豪華な金襴緞子（きんらんどんす）の帯を解いてつくった打ち掛けを自らデザイン。さらにアメリカ・シアトルの“雨の森”で大掛かりな撮影をおこない完成させたという。
会場には、写真集のなかから小品を中心に約30点を展示。繊細に彩られた絢爛なセットアップと幽玄な森林のなかに横たわる女性たちの肉体から放たれる、魔性と天女のあどけなさをあわせもつエロティシズムは、30年以上の時をへてなお神々しく匂い立つようだ。
いまでは珍しくなってしまったカラーネガから、手作業で焼き付けた銀塩プリントの作品が並ぶという『夢つづれ』展。写真家としてはもちろん、作家、論客としても活躍する藤原新也の、若き日のエネルギーを感じてほしい。
藤原新也写真展『夢つづれ』
期間│3月23日（土）～4月29日（月・祝）
時間│12:00～20:00
会場│代々木VILLAGE
東京都渋谷区代々木1-28-9
Tel.03-5459-5093
藤原新也写真集『COLORS』
発行│マッチアンドカンパニー
部数│1000部限定 ※エディションナンバー、サイン入り
価格│5250円