ART│『鈴木理策 アトリエのセザンヌ』展
ART│セザンヌの視線の先を追体験する
『鈴木理策 アトリエのセザンヌ』展
写真家の鈴木理策氏による新作展『鈴木理策 アトリエのセザンヌ』が2月9日(土)から3月27日(水)まで銀座のギャラリー小柳で開かれる。セザンヌが晩年をすごしたフランス・プロヴァンス北部にあるアトリエの“空気感”までもを撮影した作品が並ぶ。
Text by YANAKA Tomomi
風や光の温度、匂い、乾いた空気まで捉えた写真作品
鈴木理策氏は1963年和歌山県生まれ。自らの故郷であり聖地でもある熊野を題材とした『海と山のあいだ』『奥熊野』や『SAKURA』『WHITE』など、連綿と流れる時間や視線の動きを意識した作品で国際的にも非常に評価の高い写真家だ。2000年には木村伊兵衛写真賞、2008年には日本写真協会年度賞などを受賞している。
今回の『アトリエのセザンヌ』は2001年に、セザンヌの絵画に頻繁にモチーフとして登場したフランス南部のサン・ヴィクトワール山に登り、偉大な画家の足跡をカメラでたどった『Mont Sainte Victoire』シリーズにつづく新作。
新作をつくるにあたり、鈴木氏はセザンヌが最後の4年間を過ごしたアトリエに足を運び、その室内に残されたモチーフにレンズを向けた。それは対象と自分とのやり取りを大切にしたセザンヌのように、吹いている風や光の温度、匂い、その乾いた空気までもが捉えられているようだ。
また今回は静物を固定カメラで撮影することにより「写真を見る時間」と「映像が再生する時間」との差異を問う動画作品も出品される。
それまでの宗教画や歴史画と異なり、目に見えるものだけを描いたといわれるセザンヌ。『アトリエのセザンヌ』でセザンヌがアトリエのなかで巡らした視線を鈴木氏の作品から追体験して、視線のその先にあるものを感じてほしい。
『鈴木理策 アトリエのセザンヌ』
会期│2月9日(土)~3月27日(水) ※日曜、月曜、祝日は休廊
時間│11:00~19:00
会場│ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8F
Tel.03-3561-1896