ART│福士朋子 個展『Boarding』
ART│ホワイトボードに描くマンガの技法を用いた独自のアート
福士朋子 個展『Boarding』
アーティスト福士朋子による個展『Boarding』が2月16日(土)まで、白金の山本現代で開かれている。ホワイトボードにマンガの技法をもちいて描かれた、どこかシニカルで独創的な作品が展開される。
Text by YANAKA Tomomi
ギャラリーを空港に見立てたインスタレーションを展示
1967年に青森県で生まれ、現在女子美術大学の准教授を務める福士朋子。これまでマンガの「構造」や「文法」を積極的に取り入れ、日常生活においてメッセージを伝えるための道具であるホワイトボードに、コマ割りや口には出さずに考えている言葉を書く「内語」などの手法を使った作品を制作し、独自のスタイルを確立してきた。
これまでにもファクスを使って「お絵かき少女★ラッキーちゃん」が主人公の『ラッキー☆ラッキー』というマンガを友人に配信したり、東京芸術劇場の工事仮囲いに同じく、ラッキーちゃんが登場する作品『見て見て☆見ないで』を発表するなど、あらたな試みでも注目を集めている。
今回の展示ではギャラリーを架空の空港に見立て、搭乗のための手つづきから浮かび上がってくる内と外、安全と危険の境界線や個人のアイデンティティ、そして搭乗前の高揚感と不安の入り混じった時間を表現することをテーマに、新作のインスタレーションを発表した。
職場や学校家庭で誰もが見やすいところに設置され、メッセージを伝え共有し、役目を終えたらすぐに消すことのできるホワイトボードをはじめ、油性マジックやマグネットなど日常にありふれたものにより描かれるアート。「見慣れたものの前で一度立ち止まってみることによって、少しでも既成の制度や概念に揺さぶりをかけることにつながれば」と話す福士。彼女が作り出した“小さな空港”に降り立ってみてほしい。
福士朋子 個展『Boarding』
日程│1月19日(土)~2月16日(土) ※日曜、月曜休廊
時間│11:00~19:00
会場│山本現代
東京都港区白金3-1-15 3F
Tel.03-6383-0626