ART│日本初個展となるハルーン・ミルザ展
LOUNGE / ART
2014年12月9日

ART│日本初個展となるハルーン・ミルザ展

ART│現代美術賞「大和日英基金アートプライズ」を受賞

日本初個展となるハルーン・ミルザ展

現在、イギリスのアートシーンでもっとも注目される若手の気鋭アーティスト、ハルーン・ミルザによる日本初の個展が1月18日(金)から2月23日(土)まで、台東区谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催される。

Text by YANAKA Tomomi

建築的音響空間を感じさせるインスタレーション

1977年にイギリスで生まれたハルーン・ミルザ。彼は2011年のヴェネチア・ビエンナーレにおいて銀獅子賞を獲得するなど、国内外でめざましい評価を得ており、2010年代のブリティッシュアートシーンをリードするアーティストとして呼び声高い存在だ。

今回の展覧会企画のきっかけは、2008年に設立され、これまで日本で個展を開催したことがないイギリスのアーティストを対象に、日本で個展を開く機会と賞金5000ポンドが授与されるという現代美術賞「大和日英基金アートプライズ」を、ハルーン・ミルザが受賞したことによる。

自身をサウンドアーティストではなく、“コンポーザー”と名のる彼の作品の特徴は、まさに音とモノと空間が織り成すコンポジションにある。家具や家電、アンティークの日用品、また他作家による過去の作品を用い、ときにはLEDライトや映像を電子音と絡み合わせ、複雑かつ深みのあるインスタレーション作品をつくりだす。

また、活字といった静的な視覚空間にくわえ、テレビやラジオといった電子メディアから流れる動的な聴覚空間が私たちの生活を支配している現代の情報化社会をふり返らせるように、会場には一定の緊張感を保った空間のなかで、聴覚と視覚の関係性について、鑑賞者にその答えを委ねるようなインスタレーションを展示。

メロディや歌のあるミュージックではなく、あくまでサウンドを追求するハルーン・ミルザの姿勢は、パキスタンをルーツに持ち、イスラム文化で育った彼のアイデンティティを感じさせるとともに、社会や文化、歴史、宗教など、彼を取り巻くさまざまな要素が盛り込まれた建築的音響空間を見せる。

「アートは答えを与えるものではなく、問いかけるもの」と語るハルーン。見ることに依存しない“鑑賞”という行為をあらたに確立しつつある彼の作品世界に、深く足を踏み入れてみたい。

ハルーン・ミルザ

期間│1月18日(金)~2月23日(土) ※日曜・月曜・祝日休廊

時間│12:00~18:00

会場│SCAI THE BATHHOUSE

東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡

Tel.03-3821-1144

           
Photo Gallery