ART│国内外から注目を浴びる大庭大介の個展を開催
ART│新作を交え“自然の成り立ちにかかわりあう絵画の可能性”を提示
国内外から注目を浴びる大庭大介の個展を開催
偏光パール系のアクリル絵具を使った作風で国内外から注目を浴びる画家・大庭大介(おおば だいすけ)による個展が、11月27日(火)から12月21日(金)まで、台東区谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催される。
Text by YANAKA Tomomi
ロンドンでのみ公開された作品も日本に凱旋
1981年に静岡に生まれ、東京藝術大学大学院を卒業後は若手を代表するアーティストとして、偏光パール系のアクリル絵具をもちい、光の移ろいや鑑賞者の立ち位置によりイメージや色彩が変容しつづける絵画を描いてきた大庭大介。2011年のロンドンでの大規模な個展や今年の青森県立美術館への出展など、意欲的な制作活動をつづける彼が従来からテーマとしている“自然の成り立ちにかかわりあう絵画の可能性”を見せるべく、今回の個展ではまた一歩踏み込んだ集大成を新作を交えて提示する。
そんな大庭の作品は、絵画を独立した“モノ”としてではなく、観る者や周りの環境、また時間軸とが常に関係しあって成り立つものとして捉えているのが特徴。技法についても強いこだわりがあり、絵具を削りだしたり、面相筆1本で描くなど、自身が積極的に“描く”行為へと干渉してきた。
そして近作では、ベイブレード(こま)をキャンバスの上で遊ばせ、激しく衝突する現象のなかで偶発的に生じた軌跡を作品とするシリーズを展開。自らの手を介さず、複数人の行為によって生み出す手法に到達している。
また、「LOG」と名づけられたシリーズも発表。コンピューターのソフトウェアを使用し、写真の明度・彩度を11段階の色調へと一度モザイク化したものを、あらためて虹のスペクトラムに置き換えて絵画へと蘇らせるという、“描く”という行為へのさらなる挑戦を感じさせる作品など約10点を展示する。
このほかにも、継続的に制作されているシリーズ作品をはじめ、幅3メートル以上となる大作や、ロンドンでのみ公開された作品も日本に凱旋するなど、見逃せない作品が登場するこの個展。さまざまな試みを経て可能性を押しひろげてきた大庭氏が繰り出す独自の世界観を楽しみたい。
大庭大介 個展
日程│11月27日(火)~12月21日(金) ※日曜、月曜、祝日は休廊
時間│12:00~18:00
会場│SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
Tel.03-3821-1144