ART|操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」
LOUNGE / ART
2015年1月6日

ART|操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」

ART|操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」

日常にちりばめられた「死」を拾い上げた写真群

9月21日(金)から10月14日(日)にかけて、東京・中目黒のImpossible Project Spaceにて操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」が開催されている。また東京都写真美術館では、9月29日(土)から12月2日(日)まで「操上和美―時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間。」展が開催中。写真家・操上和美にあらためて注目が集まっている。

Text by IWANAGA Morito

インスタントフィルムによる被写体の撮影

操上和美は、鋭敏なアンテナで時代の風を一身に受けとめながら、数十年にわたり第一線を駆け抜けつづける、稀有なフォトグラファーである。彼のコマーシャルワークは、しばしば挑発的といえるほどの刺激と強靭なパワーに満たされ、見る者の感性にダイレクトに働きかける。彼のアートワークは、輝くような生命力をはなって人々を魅了していく。写真から発散されるいきいきとしたエネルギーは、周到な観察力と繊細なコミュニケーション、そして圧倒的な日々の努力の産物だ。

操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」02

操上和美写真展「私の家の死を彷徨う旅」03

本展で操上は、インスタントフィルムを用いて日常にちりばめられている「死」と向き合った。被写体となったのは、いまは亡き人びとのポートレート、セピアに経年変色した父や祖父たちの肖像、何億年を経たアンモナイトの化石、しゃれこうべのフィギュア……心身をくつろがせる日常空間におけるそれらの存在は、彼のうちにどんな想いを去来させてきたのか。

写真家は、過ぎ去った時や想いを風化させず、あらたな記憶として再生しようと試みる。フィルムは変化をつづけることであらたな生に転化する。プロセスのみでゴールのないこの共振は、私たちを果てしないインナートリップへといざなうだろう。

操上和美展「私の家の死を彷徨う旅」
日程|9月21日(金)~10月14日(日)
時間 |12:00~18:00 (火・木・日) /12:00~20:00 (水・金・土)
休館日|月曜日
会場|Impossible Project Space
東京都目黒区青葉台1-20-5 2階
Tel.03-5459-5093

http://www.the-impossible-project.jp

           
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