MIC*ITAYA│オリジナル・ドローイング&エッセイ「TENSHI NO HANE」
LOUNGE / ART
2015年1月10日

MIC*ITAYA│オリジナル・ドローイング&エッセイ「TENSHI NO HANE」

第4回 TENSHI NO HANE

Drawing&Copywrite by Mic*Itaya

その1対は肩甲骨の背骨側に生えていた。痩せた少年は、その頼りなく突き出た肩甲骨を気にして裸になりたがらなかった。どきどき疼くようにむず痒い背骨の中心に気をとられて、遊んだり、勉強をしたり、眠ったりといった日常生活が重く苦しいものに感じられる。

長ズボンのウエストを締めるベルトをきつくすると、お腹が痛くなる。弛めると楽になるのだが、長ズボンがずり落ちるような気がして気が散り、楽しくない。少年のウエストは細い。この中を図書室で見た人体解剖図のように、小腸や大腸などが曲がりくねりながら通っているのか。風呂場の鏡に写しながら不満そうに口をすぼめる。

肩甲骨の間の1対の羽が落ちてから2、3週間経って、小さな突起が少しずつ伸びてきている。以前のように空を飛んで、気がつくとオネショをしていて、家の人たちや友だちに知られたくないことがまたひとつ増えるのだろうか。

1対の羽は自由と同時に不自由を象徴する。そしてまた、未来への夢や希望を象徴する。と同時に現実に引き戻し、ちょっとした絶望をもたらしもする。しかし少年は自分を愛し、それ以上に世界を愛する天使だ。人の年齢で10歳のころ、羽が1度だけ生えかわる。2度目の羽は自分自身にも誰の目にも見えることはなく、ただ感じることができるだけのものだといわれている。

MIC*ITAYA

TENSHI NO HANE

acrylic on canvas

1000×500/mm

24th Nov.2011

MIC*ITAYA

http://www.micitaya.com/

           
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