ART|「土屋範人 - traditional motif」展 開催中
ヒルサイドテラスのギャラリーで平面作品全30点を展示
「土屋範人 - traditional motif」展
美濃の和紙にアクリル・岩絵の具などを重ねることで生まれる瀟洒な平面作品の展覧会「土屋範人 - traditional motif」展が、代官山・ヒルサイドテラスA棟『アートフロントギャラリー』にて3月13日(日)まで開催されている。
文=木田秀美(アートフロントギャラリー)
お雛さまの時節、空間に華やぎをくわえる伝統のモチーフ
土屋範人氏は、独自の技法を用いて現代における日本画のありようを純粋に追求している作家で、土屋氏によれば、「日本の絵画は“主題となるかたち”と“背景”のふたつの要素による極端に単純な構成により、独自の空間感を発展させてきた。“有”と“無”という二極性に最大の特徴があり、そこには日本人の美的感覚の本質があると思う。三次元的に見ればある種稚拙ともいえる空間感は、結果として平面作品の純粋性を追求していくことになった」と語る。いわゆる地と図の関係性である。
土屋氏の作品は、「地」の部分は半透明な美濃紙や箔を用いて奥行きをもたせ、「図」の部分は古典からかたちをサンプリングして不規則な反復で再構成し、不透明な単一色で構成。かたちのまわりにわずかにあらわれる彩度の高い透明色により、かたちを強調する。一から組み立てられたこの制作工程自体が作品コンセプトであるようだ。
特筆すべきは、発泡樹脂に凹みをつくり、美濃紙を張り込んだり、箔を押し、凹み部分に色材を埋め込み重ねてスキージングすることで微妙な色調の変化をつくりだしていることだ。
表面はフラットに仕上げられているのだが、無と有、地と図の二極性に置き換えられない奥行きが出現し、それが、土屋氏の作品に光と影、空間の拡がりをあたえている。伸びやかに描かれた植物の茎や葉や花や実が生き生きと息づいてくるのだ。
「土屋範人 - traditional motif」展
会期|3月13日(日)まで開催中
時間|11:00~19:00(会期中 月曜休廊)
会場|アートフロントギャラリー
東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟
Tel. 03-3476-4869
http://www.artfrontgallery.com