第37章 ピストルが歩いている国「アメリカ」の後進性
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2015年5月7日

第37章 ピストルが歩いている国「アメリカ」の後進性

第37章 ピストルが歩いている国「アメリカ」の後進性

──個人が武器で身を守る姿勢に、世界各国は違和感を強める──

文=今 静行

アメリカは異種な国の極まりといえる

アメリカは国家誕生のいきさつもあって、憲法で個人がピストル(鉄砲も含めて)を所有することを認めている唯一の国家です。経済面では成果主義、実績主義が徹底しております。平たくいえば、先輩は後輩のいいとこ取りし、後輩は先輩を出し抜いて成績を上げるということです。

日本もこのようなアメリカ型資本主義に影響を受けてきましたが、ここへきて終身雇用制の大事さを改めて認識する企業が増えてきており、心のある日本型経営の良さが真剣に見直されています。気がつくのが遅かったくらいです。日米社会の最大の違いは、個人が武器を持つか持たないかの一点につきます。徹底した自己本位、個人主義のアメリカは、自分の命を守る為にピストルを所持することを認めているのです。

アメリカの良識層は政府に押さえこまれている

もちろんアメリカにもカバンにピストルを入れて身を守るという後進性、前近代性に反対する人たちもいます。州単位で反対を決めているところもあります。ワシントン州もその一つですが、市民にピストル(銃器)を持たせるという一部の市民が裁判を起こしていました。じつは、首都ワシントン市は条例で、家庭でピストルを持つことを禁じています。最近、結論が出ました。米連邦最高裁は銃所持を適法という判決を下しました。

政治面で、圧倒的な影響力を持つ全米ライフル協会をはじめ、ピストル賛成層は大喜びです。先進国、開発途上国を問わず、わが家にピストルがごろごろし、危険を感じたら引き金を引くという社会は、不安そのものといえます。いつ自分が撃たれるかもしれないという危険をいだきながらの生活をしていることになります。

日本はナイフ規制で大騒ぎ、アメリカ人はどう思うか

日本では、東京・秋葉原の大型ナイフ(ダガーナイフ)による無差別殺傷事件もあって、いま国を挙げてナイフ規制問題で大騒ぎしています。警察庁は、ダガーナイフの規制を視野に入れて銃刀法改正を検討していますし、地方自治体は、それぞれの自治体条例などによる規制をすでに進めています。銃器所有自由のアメリカにとっては、このような日本の動き、つまりナイフごときで社会問題化する姿を信じられないと受け止めていることでしょう。

豊かで自由なアメリカの良さは誰も否定できませんが、ピストルでドンパチが当たり前の環境は「異常」とアメリカ以外の国にはうつります。イラク戦争で泥沼化し、ニッチもサッチもいかなくなったブッシュ大統領ですが、彼の心の底に武器使用の安易さが戦争に走らせた可能性はなしとはいえないでしょう。日本を訪れる外国観光客は、口を揃えて“日本は安全な国だから”といってくれます。日本にとっては大変な財産です。間違いなくピストルが歩いている国アメリカの一面を、改めて知ってほしいと思います。

           
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