ACT 7|Welcome STAINLESS BE@RBRICK !!!
ACT 7|Welcome STAINLESS BE@RBRICK!
前回お伝えした、衝撃的なステンレス製BE@RBRICKというコラボレーション企画。
今回はついに完成に至ったその「ステンレスBE@RBRICK」を中央に据え、メディコム・トイ代表取締役 赤司竜彦氏とトーヨーキッチン アンド リビング代表取締役 渡辺孝雄氏に再度お集まりいただき、話を伺ってみた。
この両社がもたらす展開は今後どこに向かい、どのように突き進んでいくのか?
インテリア業界に一石を投じるこのプロダクトは、まだまだはじまったばかりだ──
Text by OPENERSPhoto by Jamandfix
最初に見た時は、魔法かと思いました──
赤司 まず事前に写真を見せていただいたときは、「これは魔法か」と思いました。
渡辺 そういっていただけると光栄です。
赤司 つくり方のメソッドとしてはキッチンをつくる工程と似ているというか、同じなんでしょうか? ほかのキッチンなどを拝見して、頭では出来ると思っていたのですが……BE@RBRICKの方がよっぽど難しいですよね?
渡辺 はるかに難しいですね。職人のこだわりなんですが、一般の1000%BE@RBRICKとまったく同じ動きが可能となっていますから。製作当初に「動かなくてもいいよ」と職人に伝えたんですが、「いいや、せっかくなんで動くようにつくります」といってくれました。
赤司 パーツの組み合わせ方もすべて一緒なんでしょうか?
渡辺 ほぼ一緒なんですが、「可動の仕組み」は異なっています。やはりステンレスは重いですから、ベアリングなどを使用しているんです。あと脇の部分を見ていただけるとわかるんですが、パーテーションラインが消えているのも特徴です。ステンレスだからこそ出来た技でしょうか。
最終的にはどのようにして出来たか、正直わからないんです(笑)。耳の部分なんかはステンレス技術を見てきた私ですら、かなり難しいと思われる技術なはずなんですが……。
赤司 魔法ですね。ホントに。感無量です。
渡辺 その言葉が聞けて、ほっとしています……。
赤司 実際に間接を触ってみると、触り心地がいいシャワーのノブをもっている感触に似ていますよね。
ラチェットの具合もすごく気持ちいいです。触るまでは「メッキなんじゃないか?」とちょっと疑っていたんですが、本物でした(笑)。
渡辺 足にもラチェットが入っているので、プラスチック製と変わらない動きがとれます。
赤司 重量は13.5kgですよね? 持ってみたところ、もうちょっと重く感じられました。プレッシャーもあったんでしょうか(笑)。
ステンレスの素材に関して、知人に聞くなどしてちょっと調べてみたのですが、口をそろえて「ステンレスのBE@RBRICKはできるはずがない」といっていました。今日、実物を見るまでは半信半疑だったのですが、これにはホントにびっくりしました。すばらしい技術ですね。
渡辺 職人による技術の賜物だと思います。だいたいなんでもつくれますからね。
赤司 何人ぐらいで作業されるんですか?
渡辺 それぞれパートがあるんです。板取りする職人、溶接する職人、板金する職人と、研磨する職人。
基本的には4つのパートから成り立っています。かなり難しい作業なので、それぞれの部門でのトップの職人が時間をかけながらつくっていくカタチでした。1ヵ月半かかりましたね。
赤司 時間をかけても1ヵ月半で出来ちゃうんですね……。そのスピードにはびっくりです。
渡辺 わりとこの時期は、キッチン業界は暇なんですよ。いま商談が成立すれば、だいたい年内に納品させていただく、というスケジュールなので、営業は忙しいんですが職人はちょうど空いていたわけです。秋にかけての話であったら、難しかったですね。
ステンレスBE@Rの完成によりみえる、あたらしいインテリアのカタチ──
赤司 次の課題としては、キッチンとのうまい融合を考えていきたいですよね。
渡辺 インテリアにもこういった「遊び」が入ってくると楽しくなりますよね。日本の場合はバウハウスの影響があって、妙に生真面目なところがあると思うんです。理屈っぽいデザインというか。機能がいいものじゃないと駄目だとか。私はどっちかというと「余分なものが美しい」と思えるんです。これは失礼になってしまうかもしれませんが、BE@RBRICKというのは直接的に機能性があるわけではないですよね。しかしインテリアとして置くと楽しいし、世界中の人たちがBE@RBRICKを愛しているのは、一種の余裕から生まれてくるもの、なんだと思うんですよ。
赤司 その通りだと思います。このステンレスBE@RBRICKは現状において究極のハイエンドモデルとなったわけですが、その余裕をまさに体現してくれていると思いますね。
渡辺 遊びも表現できましたが、今回は弊社のステンレス加工技術をアピールできるプロジェクトになりましたね。おそらく世界中のどこの板金業者でもこれはつくれないと思います。以前、流線型のキッチンをイタリアの展示会に出したことがあるんです。その際、現地のステンレス職人たちが集まってきて、「どうやってつくったんだ?」と質問攻めでした。このBE@RBRICKも質問攻めになると思いますね。
赤司 最初に社長がおっしゃられていた、4つ脚を「BE@RBRICKが支えてるイメージ」で出来たキッチンといった、生活のなかに根ざしたようなBE@RBRICKも見てみたいです。
渡辺 赤司さんがOKであれば、ゆくゆくはキッチンにも反映させていきたいです。ステンレスではちょっと難しいですが、たとえばキャストでつくるとか。
赤司 あ~、なるほど。
渡辺 でもBE@RBRICKは両腕を上げても、じつは支えられないんですよね。手が短いから(笑)。だから多少はデザインが変わってしまうんですが。
赤司 うちのデザイナーにもアレンジさせてみましょうか? 頭で支えているよりも、手で支えているほうがいいですもんね。
渡辺 もちろんキッチンだけでなく、テーブルでもいいですよね。インテリアとしてかなり面白いと思います。真面目ではない部分が。
赤司 本当に「JOY」な「TOY」ですね、こいつは。ぜひいろいろ進めていただければ幸いです。
私はこのコラボレーション企画はまだまだはじまったばかり、だと思っています。社長に「男気」をココまで見せていただいたので、ちょっと僕も「男気」を見せないとまずいですね(笑)。スピンオフなどで商品展開をしていきたいです。
究極のハイエンドモデル。はたして販売はあり得るのか──
赤司 さきほどからずっと見入ってしまっておりますが、このステンレスBE@RBRICK。今回は3体が製作されたわけですが、1体がトーヨーキッチンさん、1体が弊社に、そしてもう1体はオークションの「Sotheby's」に出してしまう、というのも面白いのかなと思っていたのですが。
渡辺 どうしましょうか? 今日は販売経路なんかも、話が出来ればと思っていました。
赤司 実際、量産というのは可能なんですか?
渡辺 納期次第ですね。今回のように1ヵ月から2ヵ月というのは難しいですが、納品に1年という期間であれば、ノウハウは蓄積されているので受注することは可能だと思います。
赤司 あとは……金額ですよね、これは。
渡辺 やはり高いですよ(笑)。ですが受注生産であればリスクはありませんからね。「オウプナーズ」が窓口になって販売というのも話題性があって、面白いんじゃないですか。
赤司 ちなみに、お値段はおいくらぐらいになりそうですか?
渡辺 ざっと計算すると……600万円ぐらいにはなるでしょうか。
赤司 やはり、それぐらいはしますよね。
渡辺 受注を取るといっても無制限というわけにはいかないですね。限定数を設けるカタチになると思います。だいたい年間、マックスで生産できる数は5~10体程度でしょうか。こればかりは製造との相談が必要ですが……。
赤司 なるほど。「colette」なんかのショップだと、ディスプレイとして置いてくれそうですね。通常はキャンペーンなどでBE@RBRICKを展示していただく際、ずっと同じデザインのBE@RBRICKがその場に展示されているとイメージキャラクターとなってしまうので、3ヵ月という期間を設けさせていただいているんです。このステンレスBE@RBRICKに関しては価格も価格なので、その期間をなくしてしまい「永久に展示してかまいません」というオプションもつけてあげるのも面白いかもしれません。
渡辺 なるほど、面白いですね。
赤司 ちなみに伺いたいんですが、レーザーなどで刻印を入れることは可能なんでしょうか? たとえばロゴだったりとか……。
渡辺 もちろん可能です。世界で1点モノとして製作ができます。色をのせるとなると、ちょっと難しいかもしれませんが。
間がちょっと空き、突然──
渡辺 あぁ、よかった……。気に入っていただいて、ホントによかったです。じつは心配していたんですよ。
赤司 いやいや、こちらもホントに感無量です……。それでは社長、販売に関しては一度座組みをつくって参りますね。先ほどの金額を伺ってアイディアも膨らんできましたので、草案を考えて再度ご提案させていただいてもよろしいですか? もちろんオウプナーズさんにもいい方向で(笑)。
渡辺 わかりました。ぜひいい方向に話をすすめましょう!
赤司 でも最初に社長が仰られてた4桁の金額とは違ったので、肩の荷がおりました……。
渡辺 今回の3体のうち、1体は引き取ってくださいよ。責任上(笑)。
今回ご紹介した「ステンレス製BE@RBRICK」のプロジェクトサンプルが、6月21日(土)よりパルコ ファクトリーにて開催される「MEDICOM TOY EXHIBITION '08」にて正式にお披露目されることが決定した。トーヨーキッチン アンド リビングが誇る「匠の技術」により完成に至ったBE@RBRICKのハイエンドモデルを、ぜひその目でご覧になっていただきたい。
MEDICOM TOY EXHIBITION '08
期間|2008年6月21日(土)~6月30日(月)
※会期中無休
時間|10時~21時(最終日18時まで、入場は閉場の30分前まで)
会場|パルコファクトリー(渋谷パルコ パート1、6F)
住所|渋谷区宇田川町15-1
入場料|300円(税込)
内容|メディコム・トイが送り出す’08年 - ’09年発売予定の新商品サンプルの展示、及び展示会開催記念商品の販売
展示会についての問い合わせ|パルコファクトリー
Tel. 03-3477-5873
http://www.parco-art.com
開催記念商品についての問い合わせ|メディコム・トイ
Tel. 03-3460-3933
http://www.medicomtoy.co.jp