第24章 企業の業績好調と賃上げストップの矛盾
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2015年5月7日

第24章 企業の業績好調と賃上げストップの矛盾

第24章 企業の業績好調と賃上げストップの矛盾

文=今 静行

経団連がいまさら賃上げ容認のおかしさ

政府、大企業サイドから業績好調の大合唱が聞こえてきます。ゆるやかな景気回復はたしかだと国民にことあるごとにアピールしています。おかしなことに大企業から中小零細企業にいたるまで、賃金引き上げはほとんどなしです。

景気が良かろうが悪かろうが、賃金やボーナスをアップしないという体質が経営者に浸みこんでいるのです。要するに人件費は増やすなという経営方針が浸透しているのです。

これでは国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費支出が盛り上がるわけがないのです。私たちが一斉に買い物をし、レジャーなどにおカネを使うようにすれば、アッという間に景気は間違いなく上昇します。私たち一人ひとりの消費が景気を左右することは、理論的にも実践的にもまったく正しいのです。

こんな事情に気づいたのか、最近になって経営者の代表的な集まりである日本経団連が、業績好調な企業の賃上げを容認する方針を打ち出しました。やはり家計に消費支出を増やしてもらわなければ企業側も困るということなのです。

業績好調のかけ声ばかり

このことを裏返しすれば、これまで長期間にわたってなにがなんでも“賃上げは抑えろ”という姿勢をとってきたことを意味します。だから今回の家計に対する配慮の賃上げ容認も“但し書き”がついているのです。労働者側が強く求めている横並びの賃上げをかたくなに否定しています。業績好調の企業にかぎってボーナス・一時金に反映されるべきであると明示しているのです。

家計は、原油の値上げや定率減税廃止など、つまり実質的な増税で手取り収入が伸び悩んでいます。景気回復の実感が薄いのは当然なのです。2008年も低調な経済が続く年になるとみていいでしょう。冷静にしっかり先行きを見極める努力を怠らないようにしてほしいものです。

           
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