第21章 供給過剰が続く住宅事情、熟慮が求められるマイホーム取得
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2015年5月7日

第21章 供給過剰が続く住宅事情、熟慮が求められるマイホーム取得

第21章 供給過剰が続く住宅事情、熟慮が求められるマイホーム取得

文=今 静行

住宅総数のうち13%が「空き家」

世帯数4700万、住宅総数5400万戸、最初にこの数字をしっかり頭に入れてください。総務省「住宅・土地統計調査報告」(2003年)にある数字です。この統計は5年ごとに作成されるもので、2003年がいまのところ最新となっていますが、実態は世帯数、住宅数ともかなり増加しております。

気になるのは、全国の住宅総数のうちざっと700万戸、13%がひとの住まない「空き家」になっているということ。100戸のうち13軒は空き家ということです。

住宅数と世帯数の推移を総務省の統計でみていくと、1978年(昭和53年)にすでに262万戸も住宅が世帯数を上まわっていました。30年前から供給過剰になっているのです。

そういえば、新聞に折り込まれてくるぶ厚いチラシの9割以上はマンション、一戸建てなどの物件情報ですし、家庭には毎日のように住宅購入を勧める電話がガンガンかかってきます。業者の激しい売り込みに、担当者が追いつめられている感じさえします。

あり余っているものは安く、という経済のメカニズムからいうと

こんな供給過剰のなかで、新築住宅は年間100万戸以上も造り続けられているのです。あり余っているものは安く、品不足気味のものは高いという経済のメカニズムからいえば、住宅は下がることはあっても、上がる余地は、ごく例外的な地域、たとえば都心部などをのぞいてほとんど期待できないと受け止めるべきでしょう。

さらに留意しなければならないのは、日本の人口が減りはじめていることがはっきりしている点です。政府の予測では2007年からとなっていましたが、すでにその前からはじまっており、住宅産業分野では、どう対応すべきか各社が真剣に取り組んでいるのです。

マイホーム取得のプラス、マイナス

私たちひとりひとりが住宅動向をよく見極め、マイホームをもつことのプラス、マイナスの両面を家族とよく話し合って決断、行動すべきです。

マイホームは一家団らんの場になり、仕事の励みになるなど利点はたくさんありますが、一方で25年、あるいは30年と続くローンの支払いもあります。

今後20年、30年安定した収入を得られると確信をもっていいきれるひとは何人いるでしょうか。また住宅価格が購入時点より高く売れるということは望み薄です。資産価値をあてにするような安易な見方は捨て去るべきでしょう。

厳しいようですが、住宅は利益を生まない資産と位置づけるべきでしょう。冷静に先行きを見る習性を身につけてほしいものです。

           
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