第7回 心療内科は精神科?
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2015年3月6日

第7回 心療内科は精神科?

第7回 心療内科は精神科?

text by MATSUMURA Junko

世にある心療内科は、実はほとんど精神科である

「世にある心療内科は、実はほとんど精神科である」

といわれたら、皆さんはびっくりするでしょうか?
でも実は、これは当たらずとも遠からず、なのです。

「心療内科」の看板を掲げているクリニックは、結構あると思います。
でも、その看板をよく見てみると、そのほとんどに、「神経科」や「精神科」が一緒に書かれています。
こういうところは、基本的に精神科であると考えて差し支えありません。
HPなどに、Dr.のプロフィールが書いてあると更に判別はつきやすいです。
精神科のDr.であれば、「精神保健指定医」の文字がありますから。
もちろん、心身医学をしっかり学ばれている精神科のDr.も多くいらっしゃいます。

また、元々心療内科医ですが、同時に精神科の勉強をして精神保健指定医の資格を取っているDr.もいらっしゃいます。
しかし、中には看板だけ「心療内科」で、その実は完全に精神科でしかない、という「心療内科」が存在するのも事実です。
一方で、「神経科」「精神科」がついていない「心療内科」のクリニックは、ごくまれにしかありません。
では何故、こんなことが起きるのでしょう?

「精神科」と聞くと、皆さんはどういう人がかかるところだと感じるでしょうか?
「気が狂った人」がかかるところ、という印象をお持ちである方が、少なくないのではと思います。
これは、戦前から続いている、「気が狂った人を閉じ込めておくところ」=精神病院、という、精神科医療に対する偏見のようなものです。

現在の精神科医療は、薬物療法や心理療法を組み合わせて、色々なタイプの心の治療を行っているのに、未だにその実態が一般の人々に知られていない、というのが日本の実情です。

そのため、「精神科」は、敷居が高い感じで受診しづらいと思われる方が少なくありません。
しかし「心療内科」なら、「気が狂った人」のイメージはありません。
そこで、精神科のDr.の中に、患者さんが受診しやすいようにと「心療内科」を標榜する方が出てきた、ということなのです。

ちなみに、現在の法律では、医師免許さえあれば、どんな科でも標榜してもいいことになっています。
極端に言うと、内科医でも、眼科や耳鼻科を標榜して開業するのは自由なのです。
まあ、自信のない科を標榜して開業するDr.は、まずいないでしょうが。
その点、心療内科は精神科とオーバーラップしている部分がありますので、精神科医が標榜してもさほど問題はありません。
(実際、「心療内科」を希望されて受診される患者さんのほとんどが、精神科で診てもおかしくない状態の患者さんだったりもしますし……。)
ということで、実は精神科である「心療内科」が増えた、という訳なのです。

次回は、本当の「心療内科」が少ない理由です

オウプナーズ編集室より

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