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2015年5月7日

第5章 厳冬を迎えた消費者金融の実態

第5章 厳冬を迎えた消費者金融の実態

文=今 静行

─サラ金に群がる銀行・生保と天下り役人─
─空恐ろしい「命が担保」─

いま消費者金融会社は、かつてない激しい非難を浴びています。非難というより各界各層から一斉に集中砲火を浴びていると形容したほうがより適切かも知れません。

消費者金融つまりサラ金は、もともと高金利で取り立ての厳しさで知られています。ここへきて「命を担保」にした生命保険契約のからくりが一気に表面化しました。

短期で少額の借金に、消費者金融会社が保険料を立て替えて払い、借り手が死亡した時に、借金を保険金で回収するという仕組みです。要するに“死んで借金を払え”ということです。実際、激しい取り立てに耐えられなくなった多重債務者が自殺に追い込まれた例がかなり出ております。空恐ろしい思いがします。

もともと消費者金融は、庶民が急を要するおカネが必要な場合、小口金融を求める場としてスタートしたものです。20〜29%という高金利で貸し出すのですから、利益が膨らみ、消費者金融会社が巨大化し、相次いで株式を上場するところも出てきました。その実態は文字通り高利貸しというイメージです。

消費者金融会社といっても普通の銀行のように私たち庶民から預金を集めることは法律で禁じられています。銀行から融資を受けて、高い利息で貸し付けているのです。
民間銀行は絶好の貸付先として消費者金融会社をとらえ、本店や支店の中に消費者金融会社の出先を併設するところも出てきました。
また大手銀行では、消費者金融会社を系列化し一体となって小口融資に取り組むというように、ひたすら利益追求至上主義に走るようになりました。

生命保険業界も積極的に消費者金融会社と手を組むようになりました。割高な保険料を金融会社が払い込んでくれるので、こんないいビジネスはないと全面的に協力してきました。
もっとも消費者金融会社が保険金を支払うといっても、もともと20数%のという罰則のない灰色金利を使って貸金業者の多くは大きな利益を上げてきたのです。

もう一つ見逃せないのは、消費者金融会社に旧大蔵省の局長クラスや財務省の官僚OBが役員、顧問として天下りしている点です。業界を監督する元幹部たちです。大手貸金業者にすれば、天下りを受け入れることで、官とのパイプをつなぎ、銀行からも安定的に融資を引き出せると考えるのは当然でしょう。

こう見てくると、大手消費者金融会社を中心に、銀行、生保、天下り官僚が群がっていると言い切れます。むしろこの三者に支えられているというべきでしょう。
小口金融にはそれなりの存在価値があるのです。貸金業者もこれを機会に大いに反省し、新しい出発をしてほしいと思います。

参考までに最新の数字を上げておきましょう。金融庁調べですが、消費者金融会社が融資の際、借り手にかける「消費者信用団体生命保険」には大手の17社が加入していますが、05年度に受け取った保険金は合計302億円、延べ約5万2千件でした。
このうち自殺がはっきりしている分は4900件、全体の9.4%、金額は43億円で、全体の14.2%になっています。

           
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