第4章 無年金は家族全体の最重要問題
第4章 無年金は家族全体の最重要問題
文=今 静行
─ファミリーを苦しめないために─
─税金の援助、恩恵を放棄していいのか?“もったいない”─
「自分が将来、無年金者になったらどうなるか」
─真剣に考えてみたことがありますか。何はともあれ筆者の親しい知人で無年金者の実態について記してみましょう。
結論を先に言いますと、無年金者は本人たち夫婦だけの問題ではなく、息子夫婦や孫たちにも毎日切ない思いをさせていることをしっかり知ってほしいのです。
無年金の知人夫婦の場合、奥さんは長い闘病生活の末、73歳でガンで亡くなりました。80歳近くのご主人は今寝たきりの入院生活を続けています。若い頃は幾つも職を変え、エネルギッシュな方でした。老後の年金については全く無関心でした。
それなりの資産のあるリタイアならまだしも、実態は資産ゼロに近い形で老後を迎え、病気がちの日々になりました。私たちの身近によく見られる例です。
自らの責任、判断で無年金の道を選んだのですが、サラリーマンの子供たちの生活には一気に重圧がかかってきました。
「両親が年金に入っていたら、これほどヤリクリに追われなくても……」という声でした。偽らざる実感でしょう。
要するに、無年金者は自分たち個人のことを安易に考えていたのならとんでもない間違いということです。ファミリー全体に圧倒的な負担をかける結果を招いているのです。
政府や社会保険庁のお先棒を担いで国民年金保険料を納めよう、などのPRをする気は毛頭ありません。言いたいのは、無年金は家族全体の最重要問題だということを心してほしいということなのです。
フリーターのような職業の不安定な人が増え続けています。現在、国民年金保険料の未納者は40%近くにも達しております。ここで是非つけ加えておきたいことがあります。国民年金財源の3分の2は税金で賄われています。09年度までには2分の1に引き上げが決まっています。年金の加入をやめれば自分も払っている税金の援助、恩恵が受けられないのです。文字通り“もったいない”話です。
もうひとつ、国民年金保険料は本人の収入が低いとか、失業などに対して免除制度や猶予制度が用意されています。この救済措置活用も覚えておいてください。
保険金を払っていない人たちの多くは経済的負担を挙げています。前述の制度活用が有力な一手になるでしょう。若年者納付猶予制度も新しく設けられました。不明な点は市町村の国民年金担当者に積極的に問い合わせてください。