第3章 良質な「官」に期待
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2015年5月7日

第3章 良質な「官」に期待

第3章 良質な「官」に期待

文=今 静行

─野放しにブレーキをかける役割が必要─
─信用第一の大手生損保会社の裏切り─

「これからは速やかなる保険金のお支払いを確実に実行します」
─国内最大手のある火災保険会社のお詫びの新聞広告です。コトの重大さにあわてふためいている様子がよくわかります。信用が唯一の売り物の保険会社だけに信じられないことです。この手の不祥事が約30社にのぼっているのです。空恐ろしい気がします。

かれこれ17、8年前のことです。私(筆者)の親しい友人で大手証券会社の役員が「大蔵省(現在の財務省)は監督指導ということでうるさいくらい口を出してくる。自由にやらせてくれればいいのに……」と不満を述べました。
少し間をおいて「もっとも監督官庁が何もしなければ銀行や証券会社は何をしでかすか分からない面があることも事実ですね」とやや自嘲気味に話してくれました。今でも強く印象に残っています。

じつは、最近金融庁は毎週のように生損保会社や銀行の不法行為をびしびし摘発し、営業停止など厳罰主義でのぞんでいます。公正取引委員会も昨年暮れから大手銀行を中心に、相次いで行政処分を出しています。不当な営業に対して警告しています。

市民の無知というか、保険のこまかい取り決めなどよく理解していないことにつけ込んで、当然受け取るべき保険金を支払わないなどの違法行為を長く続けてきたのですから、手きびしい処分を受けるのは当たり前です。
「官」である金融庁や公正取引委員会が法令違反で生損保各社・銀行を締めつけているのです。国民の圧倒的な支持を受けているのは、それなりの十分な理由があるのです。
いってみれば「官」の役割を具現してほしいと国民が大きく期待しているのです。ここで知ってほしいのは小泉政権5年の歩みは“官から民へ”と民優先政策で貫かれてきました。

古い体質を打ち破る大きな刺激になったことは否定できませんが、何か「官」がすべて悪いというイメージを植え付けたことも事実です。民最優先は利益追求最優先の一言につきます。儲けるためには何をやってもいいという風潮を産みました。

どんな時代でも野放し状態に歯止めをかける制度は必要です。それは質のよい「官」です。国民が安心して生活できるように、目を光らせ警告や行政処分をする存在にするべきです。繰り返すようですが、良質な「官」の大切な役割を改めて知ってほしいと思います。

           
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