第49章 米国債を買い続けていいのか?|ざっと70兆円の巨額にびっくり
第49章 米国債を買いつづけていいのか?──ざっと70兆円の巨額にびっくり
文=今 静行
米財政赤字の穴埋めと中国、日本の役割
アメリカの財政赤字は2009年度に1兆ドル規模にふくれ上がることが必至となってきています。とどのつまり財政赤字で苦しむアメリカは米国債を外国に買いつづけてもらうより手立てがないのです。米国債の最大の購入先は中国で現在約6000億ドルに達し、日本はほぼ中国とおなじ水準で第2位の購入先となっています。2004年では日本の購入額は7000億ドルまでふくらみました。日本円に換算して70兆円という巨額です。
最近のことですが中南米のある小国では国債の元本、利息が払えなくなり、国債という国家の借用証書が紙切れになってしまいました。国が破産したのです。
アメリカの国債(借用証書)が紙くずになるようなことは考えられませんが、いささか気になるところです。
一部換金して日本の財政赤字の足しに
一方、日本の財政も赤字つづきで政府は予算のヤリクリに四苦八苦しています。
こんな状態がこれからもながくつづくのですから、約70兆円もある米国債を換金して数兆円ぐらい日本の赤字財政の穴埋めにしたらという素朴な声も出ています。
そこで駐米大使をながくしていた著名な外交評論家K氏と民主党の大幹部のひとりであるK氏に直接、私が聞いてみました。ふたりのK氏の答は、共通して思慮深いというかアメリカに気づかいしたおなじ内容になりました。
アメリカに遠慮する著名なふたりの答と日本の立場
元駐米大使のK氏は「日本の財政の足しに米国債の一部を換金したらという意見は十分理解できますが、いまの日米関係を考えると日本政府は言い出せないと思います。」一方、民主党幹部のK氏は「大量にドルを売って円に換金することになると、ドル安円高が進行します。なかなかむずかしいと思います。アメリカの立場も考えないと……」という答でした。
ふたりのK氏に共通しているのは、アメリカに遠慮しているというか、私の想像以上に気がねしているように受け止めました。
このまま考慮なしに政府、日銀や日本の金融機関が米国債を買いつづけていいものかどうか、国民全体や関心をもってほしいと思います。