第48章 安易に子どもを産むべきでない|政府の少子化対策と現実
第48章 安易に子どもを産むべきでない──政府の少子化対策と現実
文=今 静行
今後50年足らずで日本の人口は一億人を切る
日本の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)は2005年には過去最低の1.26にまで低下しました。
このことはよく知られていることですが、その後、1.32とちょっぴり前年を上まわりましたが、極めて低水準であることには変わりないのです。
ことの重大さに政府は児童手当の拡充、保育サービスの整備など少子化対策にいろいろな手をうっていますが、さっぱり赤ちゃんは増えません。
日本の総人口は今後さらに減少していくことがはっきりしています。国立社会保障・人口問題研究所は、2055年の日本の総人口は一億人(2007年現在の総人口は一億2780万人)を切り、8993万人になると発表しています。
50年間足らずでざっと30%も人口が減ってしまうのです。
ショッキングな4歳女の子のホームレス
驚くばかりです。人口の大減少はその国の経済基盤を決定的に弱めてしまいます。
活力のない日本の将来が約束されているようなものです。このようなときに最近のT紙夕刊(大手新聞社)最終面にて東京新宿に4歳女の子のホームレスの衝撃的な記事と写真が掲載されました。
韓国人のカメラマンが“こんな豊かな日本に4歳のホームレス、どういうことか”と、怒りと悲しみを打ち明けておりました。
日本人にとって限りないショッキングな出来事です。
子どもは大人たちの快楽の結晶?
じつは一日中酒を飲んでいるホームレスの父親と一緒に女の子が地べたで生活しているのです。生活能力もない飲んだくれの男が子どもをつくるのは、どうみても無責任極まりないと思います。生まれてくる子どもがかわいそうです。子どもはなんの罪もないのです。
ここで思い出されるのは、私(筆者)の親友のひとりであったA紙のヨーロッパ特派員の話です。彼は若くして故人になりましたが、3人の男児がおりました。
いつも口ぐせのように言っていたのは「子どもは大人たちの快楽の結晶である。だから子どもには不愉快な思いをさせてはいけない。まちがっても子どもの前で夫婦喧嘩などしてはいけない。子育ては親の責任である」。
異論のある方もいるでしょうが友人の哲学みたいなものをいまでも私は感じております。
産む産まないを選択できる唯一の動物が人間だ
不況下にある現在、年収200~300万円という若者が増えております。子どもどころか結婚生活すらできない状態です。
いずれにしてもやすに子どもをもつような考えは改めてほしいと思います。
最後に一言。
人間は動物のなかで“子どもを産む、産まないを選択できる唯一の動物”であることを噛みしめてください。