連載|パリところどころ 002 ボジョレー・ヌーボー
Chapter002
rue paul bert & place d'aligre
ボジョレー・ヌーボー解禁日に試飲
さて、連載第2回目はボジョレー・ヌーボーのお話。ボジョレー・ヌーボーの名前は有名ですが、それがどんなワインかご存知でしょうか? ボジョレー地域のワインのうちでガメ種のブドウでつくられたもので、その年の葡萄のでき具合をチェックすることを主眼につくられるあたらしいワインのことです。種類は4つ。地方名のボジョレー、地区名のボジョレー・シュペリュール、村名のボジョレー・ヴィラージュ、畑名のクリュ・ボジョレーがあります。毎年11月のシーズンになると、パリは試飲会で盛り上がります。今回はボジョレー・ヌーボー試飲のパリのプチ旅のお話です。
写真、文=松永麻衣子
パリの11月の第3木曜日は、ボジョレー・ヌーボー解禁日です。今年のワインのできばえを飲んで予想する、収穫祭に似たようなよろこびの日。昔ほど盛り上がりはないにしろ、やっぱりウキウキします。朝から飲むひとも減ってしまったけれど、カフェのテラスにはこんなお祭り気分な屋台が設置されていました。
そこで、盛り上がっていそうなマレ地区をちょっとプラプラ。中心部というかひとの集まるところは昔ながらのボジョレー・ヌーボーを最大限、カフェ全体で楽しんでいました。お店の窓やドア、ガラスというガラスは“Le Beaujolais nouveau est arrivé!( ボジョレー・ヌーボー解禁)”と手書きの文句とイラストで埋め尽くされます。垂れ幕まで掲げるお店もあったり、ミュージシャンを呼んで生演奏が聞けたり、 こんなスタイルでお祭り気分を味わうのがトラディショナルです。
近年のカフェのスタイルで言えば、ポスターを貼ってそれだけ、というお店が増えています。でも、今年はポスターのデザインがクラシック一辺倒ではなくポップなものが多く、それだけでも楽しめました。手書きでもシンプルでセンスいいものもたくさんあります。
さて、夕方。このところグルメ通りと評判の高い、rue paul bertにあるカーヴにまずは行ってみることにしました。「CRUS et dècouvertes」。若いオーナーがはじめたカーヴで、お店にあるワインの95パーセントがビオワイン。今回飲んだボジョレー・ヌーボーとボジョ レー・ヴィラージュ・ヌーボーもビオワインでした!!
店内に入ると、試飲のカウンターへ案内されました。まずはお薦めのトリコロールのラベルのボジョレー・ヌーボーから。一口飲んでみると、いままでのボジョレー・ ヌーボーの印象である、「酸っぱくて、おいしくない、来年にはカフェのグラスワインかな」が吹っ飛ぶぐらいおいしかったのです。もちろん、軽い飲み口。でも足りなくない。 酸っぱくない。渋くない。ボジョレー・ヌーボーが普通においしく飲めるなんて! 本当にビックリでした。2本目のボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーは、 ちょっとクセがあり、後味が少々渋い。でも、いままで飲んだボジョレー・ヌーボーよりははるかにうまい! 試飲をして、どちらか1本を買う……つもりでしたが、あまりにおいしいので2本とも(7€50)買ってしまいました。
試飲の旅はまだまだつづきます。この近くにはパリでいちばん安いといわれるマルシェ・ダリーグルという市場があります。月曜日以外の午前中、毎日活気溢れる朝市です。せっかく近くまで来たので、アリーグルのカーヴ(Caves D'Aligre)にも行ってみることにしました。
ボジョレー・ヌーボーとボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー、こちらでも2種類揃えていました。ビオではないけれど、フィルターにかけておらず、小規模なワインづくりをしているものです。今年は去年に引きつづきワインのできがいいそうです。といっても去年はこんなに感動しませんでした。こちらは圧倒的にボジョレー・ヌーボーの勝利です。6€95という値段もいいですね。