【インタビュー】本質を知り、敬意を込めて、新しい形へ。古屋大和がタコスとメディコム・トイに託す哲学 | MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
MLE × TACOS 3Hermanos
メディコム・トイが展開する、生活がより楽しくなるプロダクト「MEDICOM TOY LIFE Entertainment(MLE)」より、日本で本場メキシコの味を堪能できると話題のタコス専門店「TACOS 3Hermanos(タコス トレス・エルマノス)」のアイテムが登場! ラインナップは、3Hermanosが手がけるパーティーイベント「EL CHILANGO」の歴代ビジュアルを用いたTシャツ4種に、ロゴパターンをあしらったFABRICK®のトートバッグやクッション、スリッパなどの8種を加えた全12アイテム。メキシコで故人を陽気に迎える祝祭「Día de Muertos(死者の日)」にあたる11月1日(日)に発売される。
Text by SHINNO Kunihiko|Photo by NAGAO Masashi|Edit by TOMIYAMA Eizaburo
日本にないなら、自分で作る
タコス専門店「TACOS 3Hermanos(タコス トレス・エルマノス)」の創設者、古屋さんがタコスの仕事を始めたのは2021年。その3年前の2018年、メキシコ在住時に日本からの報せを受け、両親の介護のために帰国したことが大きな転機となりました。現地で興した日本向けの輸出事業が軌道に乗り、このままメキシコに骨を埋めようと考えていた矢先の出来事でした。
「だって、僕がお金を稼がないとパパとママを養えないじゃないですか。そのために日本に戻ったんで」

古屋大和|フルヤ・ヤマト
1974年、山梨県富士河口湖町生まれ。富士山信仰の浅間神社・葭之池温泉の家系で育ち、ミュージシャン、広告映像制作などを経て、2015年にメヒコへ移住。2021年にタコス専門店トレス・エルマノスを起業。フードトラックで横須賀、福生、横田などに出店し人気を博す。2022年に山中湖店、2024年に原宿店をオープン。日本より先にメヒコ本国で「メヒコのタコスそのものだ」と話題となり、日本にある唯一無二の道端タコスとして支持されている。愛称はジャミタ(Yamita)。
TACOS 3Hermanos|タコス トレス・エルマノス
山梨県・河口湖生まれの古屋さんは、富士山信仰の浅間神社・葭之池温泉の家系で育ちました。帰国後にまず始めたのは、実家を活用したAirbnbの宿泊事業。建築家である父親が手がけた建物や、1856年から続く母方の実家の温泉施設を、今風にアレンジするのではなく、そのまま海外の旅行者に体験してもらおうと考えました。
「僕はそのままが一番ウケると思ったんです。センスがいい人、頭のいい人が求めているのは、リアルな日本を体験することじゃないですか」
その読みは見事に当たり、宿泊希望者が殺到。日本人には見慣れた建物や風習は、海外から訪れる人には特別な魅力があるもの。新しく演出し直すのではなく、そこにある歴史や暮らしごと伝える経験は、後にタコスの店を始める際にもつながっていきます。
ところが2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で海外からの観光客が激減。古屋さんは別の仕事を考えなければいけなくなりました。そこで目を向けたのが、日本に暮らす外国人でした。
メキシコで暮らしていた古屋さんにとって、タコスは特別な料理ではなく日常の食事。ところが、日本ではメキシコで親しんだ味になかなか出会えません。ロサンゼルスなどで発展したメキシコ風のアメリカ料理と、メキシコ本国の食文化が同じものとして扱われていることにも違和感がありました。
「だったら自分で作るしかないじゃないですか」

そうして始めたタコス作りは、道具選びから妥協しませんでした。メキシコシティのラ・メルセド市場から鍋やマチェテ(大型の刃物)などを取り寄せ、専用のトルティーヤを作るためのマシンも導入。家庭用とは異なる、タコスに適した小さなトルティーヤを用意しました。
肉の調理法にもメキシコシティの環境が関係しています。標高約2300mの同地では水の沸点が低く、ゆっくり火を入れる調理法(コンフィ)が肉の柔らかな食感につながります。古屋さんは現地で親しんだ「ホロホロ感」を再現するため、低温でじっくりと火を通しました。肉そのものに過度な味付けをせず、サルサで仕上げるのも現地のスタイル。食材もほぼすべてメキシコから輸入し、牛肉はソノラ州の牧場「Rancho El 17」で育てられた最高品質のものを使用しています。

「誰かに合わせて好きになってもらいたいっていうのは俺じゃないです」
日本人に受け入れられるようにアレンジするのではなく、メキシコの食文化が持つ魅力を、そのまま伝える。現地の味にこだわったタコスは、日本在住のメキシコ人の間で評判となり、YouTuberのアレックスがスペイン語で発信した映像を通じて本国にも知られるようになりました。
現在は2026年9月にオープンした吉祥寺店をはじめ、全体で7店舗を展開。浅草ではタコス店に加え、チラキレスなどの朝食メニューを提供する「エルマナス」も運営しています。古屋さんが目指すのは、タコスを一時的なブームに終わらせず、日本に文化として根づかせること。食材や道具を通じてメキシコにも利益が還元される仕組みを考えていると語ります。
「だってタコスは愛だから」

その言葉には、料理への思いだけでなく、自分が受け取った文化を次へとつなごうとする姿勢も込められています。
音楽から学んだ、文化の本質
こうした古屋さんの文化への向き合い方を知るには、若い頃の音楽活動を振り返る必要があります。
子供の頃からスケートボードに親しむと同時に、自宅にあったターンテーブルを2台つなぎ、ドーナツ盤を擦って遊んでいた古屋さん。15歳の頃にレゲエのDJに惹かれると、アルバイトをしてレコードを買い集めるようになります。ローリング・ストーンズのルーツであるブルースの第一人者マディ・ウォーターズ、そしてソウル、ファンクへと関心を広げていきました。
「そこをちゃんと分かってないと今の音楽はないからね」
音楽を表面的なスタイルとして受け取るのではなく、どこから生まれ、何を受け継いできたのかを知る。その姿勢が古屋さんをモッズの世界へと導いていきます。セツ・モードセミナーに通うため上京すると、東京モッズシーンの中心人物である黒田学氏らに見いだされ、バンド「SOUL NISSION」のフロントマンとして活動。「王子」の愛称で知られる存在となります。その後も生バンドを取り入れたヒップホップやポエトリーリーディング、ダブなどへと表現を広げ、ファッションショーやインスタレーションにも参加しました。
古屋さんが惹かれたのは、モッズのファッションをそのまま再現することではありません。
「僕はモッズ回顧主義じゃなく、その精神性に興味を持ったクチなんで、ずっと新しくなきゃいけないとか、このコンフォートゾーンから出なきゃいけないみたいな思いがすごくあるんです」

お話の中で、影響を受けたバンドとして、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、アレステッド・デベロップメント、ザ・ルーツといった名前が挙がりました。過去のスタイルの背景にある精神を理解し、自分の時代の表現へと更新していくこと。ここで要求される絶妙なバランス感覚こそ、古屋さんが探求するポイントです。
やがて音楽活動の後、映像制作や広告の仕事へと進んだ古屋さんは、QRコードを使った商品紹介広告の事業を成功させます。ただその一方で、面白い表現を追求していたはずなのに、利益を上げること自体が目的になっていることに違和感を覚えるようになります。
そして2011年の東日本大震災を機に自分の生き方を見つめ直し、世界の人々と直接コミュニケーションを取ろうと考えるようになりました。そうした中、日本で出会ったレゲエミュージック好きのメキシコ人の女の子が、生きる道を示します。
「『私、日本に住んでみたいかも』って、すぐ英会話スクールの面接を受けて、イミグレーション5年取ってきて。こうやって世界ってつくるんだなと思ったんです」
その後、彼女の影響もあり現地の言葉もわからないままメキシコへ渡り、現地で暮らしました。その経験が、今の仕事の土台となっていると古屋さんは語ります。そして音楽のルーツをたどった時と同じように、タコスについても形だけでなく文化の内側にある暮らしや価値観を知ろうとしました。
メディコム・トイの「リミックス」の面白さ
TACOS 3Hermanosの店舗やユニフォームにも、古屋さんの哲学は表れています。デザインを手がけるのは、20年来の付き合いがあるアートディレクターの上松智樹さん。店の内装の赤と白も、単に目を引く色として選んだわけではありません。
TACOS 3Hermanos 吉祥寺店
〒180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-10 TOP吉祥寺2 1階
「メヒコでは、タケリア(Taquería、タコス専門店)はカルニセリア(Carnicería、精肉店)の端っこに併設されてるんです。働いている人はみんな血と脂まみれになります。だったら白と赤でしょって」
見た目をメキシコ風にするのではなく、文化の背景を知ったうえでデザインに落とし込む。それが古屋さんのいう「リミックス」です。
今回のコラボレーションは、古屋さんが信頼する人を介して2025年に上梓した著書『愛を貫く タコス・トレス・エルマノスの革命』(Type Slowly)がメディコム・トイの赤司竜彦社長に渡ったことがきっかけとなりました。
「僕からお願いしたら絶対違うじゃないですか。赤司さんが面白いと思ってくれて話が進んだみたいです。とてもありがたいです」
古屋さんが特に魅力を感じているのが、メディコム・トイが生み出すBE@RBRICKの表現力。さまざまなブランドや文化を受け止めながら、別のアートフォームへと変換していくコラボレーションの巧みさです。

「メキシコシティにもBE@RBRICKのことをちゃんとわかっていて、アートピースとして扱うイケてる奴らが僕の周りにいるんです。コム・デ・ギャルソンやY-3を好むような人々が、日本国内とはまた違う価値観でBE@RBRICKを見ていますよ」
古屋さんにとって今回のコラボレーションは、自分が海外で築いてきたつながりと、日本のものづくりが交わる機会でもあるといいます。
「イタリアにもイギリスにもメキシコにも僕のことも知った仲間がいるから、『お前、何? メディコム・トイとやるの?』みたいな反応が楽しみで、今めちゃめちゃワクワクしてるんです」
BE@RBRICKの形を生かしながら、色や質感、ロゴの扱いなどでブランドの個性を伝える絶妙なバランス。3Hermanos名物である瓶入りのコカ・コーラも最近BE@RBRICKになりましたが、そのデザインセンスにも舌を巻きます。<BE@RBRICK × COCA-COLAⓇにアイコニックな新作が登場>
「瓶に入った感じとか、真っ赤であえてコカ・コーラと書いてないところが、めちゃくちゃ上手いじゃないですか。ああいう細やかさとかセンスの良さって日本人はズバ抜けてますよね」
今回のコラボレーションで、古屋さんは敢えて自分たちから細かくデザインを指定するのではなく、3Hermanosが定期的に開催しているパーティーイベント「EL CHILANGO」の歴代フライヤーからTシャツ用のビジュアルを選んでもらうことにしました。過去のイベントを知る人にとっては記憶を呼び起こすものになり、知らない人には、その背景にあるカルチャーを知る入口になるという考えです。

「その方がグレイトフル・デッドみたいじゃないですか。『あの日やったイベントのTシャツ、お前持ってんの?』っていう感じ(笑)」
他にも店のロゴを反復させたFABRICK®のアイテムや、これまで自分たちでは作らなかったボディカラーのTシャツも登場。自分たちの世界観をそのまま提示するのではなく、メディコム・トイの解釈が加わることで、またひとつ新たな魅力が生まれていく。自分たちだけでは思いつかなかった形に出会えること。それこそが古屋さんにとってコラボレーションの醍醐味なのです。

ちなみに店名のHermanosとは、スペイン語で「兄弟」や「兄妹」を意味する言葉。店に来てくれた人は国籍や年齢を問わず、みんな家族だよという考えです。
「デザインしてくれた上松智樹くんとは、彼がワイデン+ケネディ在籍時にポートランドから日本に戻ってきた時に出会いました。そこからの20年来の付き合いで、うちの会社に入ってもらったんです。店のロゴは上松くんに頼んで、イラストレーターの竹内俊太郎くんに描いてもらいました。3人いる、真ん中が僕です。ビギー(ノトーリアス・B.I.G.)って冠つけてるじゃないですか。俺もちょっと調子に乗って『冠かぶらしてくんない?』って(笑)」

今回のコラボレーションでは、さらに古屋さん自身をモチーフにしたボブルヘッド(首振り人形)も制作進行中だとか。片手に包丁を持ち、本人が普段よく見せるハンドサインのポーズを再現したものになるようです。
「メディコムさんはすごいね。面白いのを作ってくださって。最終版、めっちゃ似てるもん(笑)」
古屋さんは自身がアイコンとして扱われることも、ひとつの表現として受け止めています。メキシコで面識のない人に声をかけられたり、YouTubeでドキュメンタリーを見て応援していると言われることも増えたそうです。注目されること自体を目的にするのではなく、相手が楽しんでくれるなら、その役割を引き受けるという考えです。
「しかもラッキーなことに僕、ラテンアメリカで超有名なマルコ・アントニオ・ソリスっていう歌手にそっくりなんです。一度メキシコ人が集まるパーティーの時に頼まれて演歌歌手みたいなスーツを着て登場したら、めっちゃ盛り上がりました。昔だったら、いいよ、そんなのって断っただろうけど、それを演じ切ることも大事。だってプロじゃないですか。やりきらなきゃダメでしょ?」

その感覚も、音楽活動やパーティーの現場で培われたもの。自分がどう見えるかだけでなく、その場にいる人が何を楽しみ、どんな体験を持ち帰るのか。自分のこだわりを貫きながらも、他者が参加する余地を残すことを大切にしているのです。
自分のエゴを、次の世代のために使う
古屋さんが作ろうとしているのは、自分ひとりの名前を大きくするための仕組みではありません。店舗を広げ、日本在住のメキシコ人の働く場所をつくり、音楽やダンスを楽しめるパーティーイベント「EL CHILANGO」を定期的に主催することで、若い世代がそれぞれ自分の表現を見つけられる環境を用意することだといいます。3Hermanosの従業員は、ほとんどがメキシコ人。日本語が話せない人もいます。
「みんなのために俺のエゴを使うっていう感覚」
自分のこだわりを貫くことと、自分のためだけに行動することは別物。古屋さんにとって「愛」は周囲の人たちが力を発揮するために使うもの。タコスの店を続けることも、音楽の場をつくることも、メディコム・トイと新しいプロダクトを生み出すことも、その延長線上にあります。文化を一時的な話題として消費するのではなく、その背景に敬意を払い、関わる人々へ価値を返し、次の世代へつないでいく。
古屋さんがタコスに込める「愛」は料理の中だけにあるのではありません。文化を尊重し、人と人をつなぎ、その先に新しい表現が生まれる余地を残すこと。その哲学が、TACOS 3Hermanosとメディコム・トイを結びつけています。
【MLE × TACOS 3Hermanos】
2026年11月1日(日)より、TACOS 3Hermanos 浅草店・吉祥寺店、およびメディコム・トイ 直営各店舗、MEDICOM TOY OFFICIAL STOREにて発売予定。
※監修中のサンプルを撮影しております。発売商品とは一部異なる場合がございます。
©︎ 3Hermanos

T-SHIRT A
メキシコのストリートカルチャーが持つ雑多でエネルギッシュな世界観を、ルチャ・リブレのポスターを彷彿とさせるカラーグラデーションで表現。都会のアウトサイダー的な雰囲気を持つゴリラのキャラクターでイベントの方向性を伝える。

T-SHIRT B
お札に描かれるほどメキシコの国民に愛されるウーパールーパーをキービジュアルに採用。独特な曲線を描くフォルムと躍動感あふれるタイポグラフィーを融合させ、メキシコのサウンドシステム「ソニデロ」が織りなすリズムとダンスを表現。

T-SHIRT C
メキシコを代表する版画家ホセ・グアダルーペ・ポサダの作品をメインビジュアルに採用した「死者の日」のイベントフライヤー。近年は日本でも注目される祝祭を、メキシコの人々が心から祝えるよう本来の文化や伝統を大切にした世界観で表現。

T-SHIRT D
メキシコシティの雑多で活気あふれる街の風景を、音楽と人が交わるイベント「EL CHILANGO」の世界観に重ねて表現。ストリートカルチャーを感じさせるため、あえてクラフト紙に印刷したラフな質感をTシャツにも再現。
MLE × TACOS 3Hermanos T-SHIRT
TACOS 3Hermanosが不定期で主催し、シウダド・デ・メヒコ(メキシコシティ)の熱量をそのまま日本に持ってきたパーティー「EL CHILANGO(エル・チランゴ)」の歴史を象徴する4つのアートワークを落とし込んだTシャツ。
サイズ|S, M, L, XL
価格|各6600円(税込)
【MLE × TACOS 3Hermanos FABRICK® アイテム】
3Hermanosのロゴパターンを用いた生活を楽しく彩るアイテムたち。

TOTE BAG
サイズ|W440×H430mm
価格|6600円(税込)

DOCUMENT CASE A4
サイズ|W370×H455mm
価格|4950円(税込)

COIN CASE
サイズ|W75×H70mm
価格|3080円(税込)

CARD CASE
サイズ|W115×H75mm
価格|2750円(税込)

SQUARE CUSHION
サイズ|W450×H450mm
価格|6600円(税込)

SLIPPERS
サイズ|FREE
価格|4180円(税込)

BELT
サイズ|W30×L1650mm
価格|5500円(税込)

KEY CHAIN
サイズ|110mm
価格|2200円(税込)
問い合わせ先
メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555