萩原輝美 連載 vol.122|メゾン・ヴァレンティノが魅せた珠玉のドレス
パリコレクションリポート「ヴァレンティノ」
メゾン・ヴァレンティノが魅せた珠玉のドレス
ヴァレンティノが渾身のコレクションを発表しました。繊細なレースの接ぎ合わせ、箔をのせたクリムトドレス、シックなパターンonパターン…。極上のエレガンスをリアルに収めたドレスが鮮やかです。
Text by HAGIWARA Terumi
クチュール技で仕上げるレースのドレス
2015-16年秋冬パリ・プレタポルテコレクションです。パリで発表されるブランドはミラノブランドと違い、クチュールのクオリティーとプレタポルテのリアリティを重ね合せたリアルモードが魅力です。
ヴァレンティノがうっとり、どっきりの素敵な作品を発表しました。70年代をイメージしたゆったりのロングスカートが主流になりそうですが、ヴァレンティノはそれにクリムトのアートを散りばめました。
ブラック&ホワイトのバイカラーで始まったコレクションは四角、三角、ストライプをパターンオンパターンで表現。シャープなカットが無駄のないシルエットを作り出しています。スカートにはゆったりニットを合わせます。何種類、何色ものレースを接ぎ合わせたドレスはクチュールさながらの手技が光ります。
ルーレックスや箔の輝きがクリムトのキャンバスを連想させます。チェーンを手首に通すクラッチバッグがエレガントです。足元はレザーのショートブーツで締めています。ソバージュなファーやレザーに繊細なレースの接ぎ合わせ、ていねいな刺しゅうドレスにうっとりです。
1月に行われたロシアをイメージしたオートクチュールコレクションは重厚感残る印象でしたが、プレタはさらにモダンに身近に感じます。
プレタのフィナーレには映画「ズーランダー」の監督、ベン・スティラーと俳優のオーウェン・ウィルソンがヴァレンティノメンズを来て登場して客席はどっきり、会場をわかせました。クチュール技をたっぷり盛り込んだ珠玉のドレス!今シーズンいち押しのコレクションです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/