萩原輝美 連載 vol.119|あらたな才能が開花するオートクチュール
ラフ・シモンズによる「ディオール」と注目の新人「ステファニー・クデール」
リアルだけど夢いっぱい!蘇ったオートクチュール
オートクチュールがどんどん大きくなっています。ビッグメゾンから小さなブランドまで。デザイナーの意をかなえるクチュールの魅力的に大接近します。
Text by HAGIWARA Terumi
過去と未来を行き来させる無類のクリエーション、ディオール
2015年春夏、オートクチュールコレクションです。ディオールは小雨降るロダン美術館の特設テントで行われました。中はシルバーで縁取られたミラー張りの宇宙船のようなステージです。
レースのミニマルなミニドレスには透けるビニールのコートを羽織り、カラフルなエナメルの太ももまであるブーツを合わせています。グラフィカルプリントのぴたぴたオールインワンは宇宙までを旅しそうな未来的なスタイルです。3D刺しゅうにスパンコール、小さなトップス、段々に色をつないだオーガンジーの揺れるドレスが登場します。バージャケットが自由自在に広がります。
来月には、銀座で行われた『エスプリ ディオール』についで映画『ディオールと私』が公開されます。『私』は今のアーティスティック・ディレクター、ラフ・シモンズです。クチュールのデビューコレクションの舞台裏を探るドキュメンタリー映画です。ムッシュー・ディオールも登場して、ディオールの神髄に迫ります。
『ディオールと私』
3月14日(土)Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
女らしさを教えてくれた—ステファニー・クデール
コレクション最終日、どきっとする新人コレクションがありました。プレタから転向して2回目のクチュールを発表したステファニー・クデールです。小さな円形会場をゆったり歩くモデルたち。どこにも接ぎがみつからない、ゆがみと丸みをボディに添わせた力作です。私が見たこともなかったボディワーク。いっぱいいろいろ話してみたいデザイナーです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/