萩原輝美|18世紀を未来に繋げるモダン服ディオール、深海の青い世界を遊ぶヴァレンティノ
萩原輝美のファッションデイズ vol.112
18世紀を未来に繋げるモダン服ーラフ・シモンズのディオール
深海の青い世界を遊ぶーヴァレンティノ
クチュールコレクションをプレタに落とし込む、ラグジュアリーブランドのリアルモード。
Text by HAGIWARA Terumi
ディオールのTシャツドレス
2015年春夏パリコレクションです。人気デザイナーが揃ってデザインしたのは、過去と未来を行き来しながら優しさをアピールする自然体のドレスです。ムッシューディオールが18世紀に遡りました。7月のオートクチュールで「未来は過去の上に築かれる」と言ったアーティスティックディレクターのラフ・シモンズはその流れをプレタにつなげました。18世紀の宮廷コートは、スケーターのバミューダと組み合わせます。クチュールで登場した花刺しゅうのドレスはヴィンテージ風なワープ(ぼかし)プリントで軽い仕上がりです。パニエで膨らませたスカートは、コットンTシャツとボタンでつながれています。ロゴ代わりのワッペンは、どこにでも旅する自由な女性のイメージ。過去から未来へつなげています。
ヴァレンティノのカットワークドレス
ヴァレンティノは18世紀のフランス貴族がイタリアで過ごした旅「グランツール」をたどり、深海の青い世界を繰り広げました。いままでになく背中や胸を大胆にカットしたミニドレスは、カットワークの周りをマイクロビーズで縁取っています。珊瑚、タツノオトシゴ、ヒトデの楽しいモチーフが刺しゅうやプリントで登場します。パステルカラーの優しいグラデーションニットにスエードのロングスカート。白のカットワークレースのチュニック、コットンシャツに花柄プリントのパッチワークスカートは夏に着たいおすすめコーディネイトです。靴はクチュールから続いて、グラディエーターサンダルを合わせています。
VALENTINO|ヴァレンティノ 2015年春夏コレクション
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/