高橋理子|#018 仁王立ちのポートレート
FASHION / WOMEN
2014年11月26日

高橋理子|#018 仁王立ちのポートレート

6月28日(金)からロゴスギャラリー / 渋谷パルコにて「高橋理子展覧会」開催

#018 仁王立ちのポートレート

 

自分で手がけた着物を自分で着て仁王立ちで立つという行為を、4年ほど前からつづけている。私は一人しかいないから、世界中のひとの目前にいつまでも立ちつづけるというパフォーマンスはできないので、その姿をより多くのひとの目に触れる形にするために、写真という形態を選んだ。

Text by TAKAHASHI HirokoPhotographs by PROJECT PORTRAIT

内に強さを抱えながら静かに佇む仁王像のような姿

「着物を着て仁王立ち」。それはふつふつとわく小さな反骨心からの行動といえる。

現在の活動をはじめて、「それって、思い込みでしょ」と逆に問いたくなるような質問を浴びることも多かった。それらの思い込みは、ときに技術や文化の発展も阻む恐れがあると感じた。

たとえば、女性の着物姿はおしとやかであるもの。私もそれを疑うことはなかった。しかし、私の生み出す着物は、その姿にそぐわなかった。袖を持って身体をねじった姿も、手を前に組んで内股で立った姿も、私の気分ではなかった。思い描いたのは、もっと強いイメージ。内に強さを抱えながら静かに佇む仁王像のような姿だった。それが素敵であるかどうかは別の話であるが、女性が着物で仁王立ちをしてはいけないわけではない。思い込みや固定観念の壁は、少し考えるだけで取り払われる。

高橋理子|渋谷パルコ 02

高橋理子|渋谷パルコ 03

どの世界にも、誰にでも、思い込みはある

どの世界にも、誰にでも、思い込みはある。それがまちがいではなくとも、思考を広げることの妨げとなるだろう。「こうしなければいけない」、「こうあるべきだ」、「昔からそうだった」。そのような言葉やものごとに疑問をもち、考えることは、さまざまなことへ思いを巡らせるきっかけとなる。

少し考えて、少しだけちがうことをしてみる。小さな行動が、大きな変化を生み出すきっかけになるのなら、私が仁王立ちで佇みつづけることにも意義が生まれるかもしれない。

これは何かと問われれば、写真作品でも、パフォーマンスアートでもなく、私の生き様。

TAKAHASHI HIROKO EXHIBITION

OVERTURNING FIXED IDEAS AND PROVOKING

NEW WAYS OF THINKING.

会期|2013年6月28日(金)~7月10日(水) 会期中無休

会場|ロゴスギャラリー / 渋谷パルコ パート1 B1F

東京都渋谷区宇田川町 15-1

開館時間|10:00~21:00(最終日は 17:00 閉場)

入場料|無料

展示にかんする問い合わせ|ロゴスギャラリー Tel. 03-3496-1287

高橋理子|TAKAHASHI Hiroko

1977年生まれ。東京藝術大学大学院博士課程修了。博士号(美術)取得。2006年、株式会社ヒロコレッジを設立。円と直線のみで表現される図柄が特徴。身近に存在する固定観念を覆し、思いを巡らせるきっかけ生み出すことを目的としたもの作りを通して、気づきをあたえる表現活動そのものがコンセプチュアルな一連の作品ともいえる。

物事にあらたな視点で向き合うためのポートレート作品や、さまざまな産地や職人とともにもの作りから販売までをおこなうプロジェクト「HIROCOLEDGE」など、ジャンルレスな幅広い表現をおこなっている。

http://www.takahashihiroko.com/

           
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