萩原輝美 連載 vol.168|VALENTINO 2017-18秋冬オートクチュールコレクション
2017-18秋冬オートクチュールコレクション
ニュアンスカラーのレイヤードに、うっとりのヴァレンティノ
2017-18秋冬パリ・オートクチュールコレクションです。今シーズンはプロエンザ・スクーラー、ロダルテがニューヨークから、A・Fヴァンデヴォルストがプレタから移り、招待デザイナーとして新しく5ブランドが加わりました。プレゼンテーションのデザイナー参加も増え、4日間の日程は初日からプレタ並みの過密スケジュールでスタートしました。
Text by Terumi Hagiwara
コレクション最終日、ヴァレンティノがため息のでる美しいコレクションを発表しました。
ファーストルックは、シフォンのハイネックブラウスにダブルフェイスのケープトップ、フューシャピンクのパンツを合わせています。ニュアンスカラーの組み合わせ、カッティングの斬新さ、コーディネイトのバランスにうっとりです。
今シーズンは、バロック期に活躍したスペインの宗教画家スルバランにインスパイアされたコレクションですが、ぐっとシンプルにモダンに仕上げられています。
映画「薔薇の名前」に出てくるような粗野なイメージのフード付ケープも登場。ザクッとした麻素材のコートの裏には美しいダブルフェイスが当てられています。
心地よさを内に秘めた自分だけのラグジュアリーです。象嵌テクニックはレースやレザーだけではなく、アストラカンやフェザーも接ぎ合わされています。この秋の旬素材、ベルベットのドレスはコートインとして着たいアイテムです。トレンチコートはブラウス、ジレとパンツ、計算尽くされたバランスを無造作にレイヤードしています。
リアルアイテムなのにすべてのルックが新しい。白のタイツ、アンクルブーツに赤いイヤリングがアクセントです。春美・クロソフスカ・ド・ローラさんとコラボレートしたアニマルバッグがインパクトを添えます。デザイナー、ピエールパオロ・ピッチョーリのクリエーションはドレス以外のコーディネイトルックが増え、ますますコレクションの幅を広げています。
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/