Asprey|英国王室御用達ブランドの新クリエイティブディレクター
FASHION / WOMEN
2015年2月26日

Asprey|英国王室御用達ブランドの新クリエイティブディレクター

Asprey|アスプレイ

英国王室御用達ブランド、アスプレイの「進化」を担う

ブルース・ホックシーマ、インタビュー

2010年6月、英国の老舗ブランド、アスプレイの新クリエイティブディレクターに、ブルース・ホックシーマが就任。セレブリティから絶大な人気を誇るバッグブランドVBHの創立者で、ヴァレンティノUSAのプレジデントを務めたこともある彼に、アスプレイでのあらたな挑戦について聞いた。

文=高山裕美子

創業230周年を迎えるアスプレイのあらたなる挑戦

──今回、アスプレイのクリエイティブディレクターを引き受けようと思った、最大の理由は何でしょうか?

まず、アスプレイは、歴史と伝統があるすばらしいブランドだということ。クラフツマンシップ、クオリティ、スタイルとデザインにおいて、最高のものを提供するという伝統は、今もアスプレイの工房に息づいています。伝統と熟練の職人の技術があってこそ、真のラグジュアリーは生まれるのです。アスプレイが頑に守ってきた伝統とクラフツマンシップを見ていると、私はそこにさまざまな可能性を感じます。

──1781年創業という老舗中の老舗ですが、プレッシャーはありませんでしたか?

アスプレイのような伝統があるブランドのクリエイティブディレクターを務めるということは、大変な責任があります。ただ、プレッシャーというよりも、いろいろな可能性に対する、期待のほうが大きいですね。

ただ、イギリス人の友人たちを見ていると、彼らにとってアスプレイは、イギリス人の人生やアイデンティティといったものの象徴なんです。そういったことからも、アスプレイの伝統や品位は守りつづけていかなくては、と思います。

ブルース・ホックシーマ

新クリエイティブディレクター、ブルース・ホックシーマ

──新コレクションのテーマについて教えてください。

コレクションのテーマというのは、アスプレイには似合いません。アスプレイは作り替えていく「Throw Away Fashion(使い捨てファッション)」ではなく、それよりも上にいくポジションで、一生使える、エレガントで洗練されたものづくりを目指しています。

Asprey|アスプレイ

ブルース・ホックシーマ氏による新作サテンクラッチバッグ。

──ご自身のブランドVBHのクラッチバッグは大変な人気ですが、アスプレイの新アイテムにもクラッチバッグが登場していますね。

クラッチバッグは、女性の夜の顔です。アスプレイは今まで、「デイタイム」のアイテムが多かったのですが、「イブニング」というあたらしいカテゴリーを導入したいと考え、カラフルなクラッチバッグを取り入れました。

──グローブ・トロッター製のアスプレイのオリジナルトランクは、画期的な試みだと思いました。どのようにして、このコラボレーションが実現したのですか?

今回、私がクリエイティブディレクターになったときに、高品質のメイド・イン・イングランドのものはすべて使いたいと考えました。そこで、アスプレイ同様、歴史があり、高品質で、トラベルケースに定評があるグローブ・トロッターに着目しました。彼らの耐久性の技術などはそのままに、錠はアスプレイのもの、コーナーにはクロコダイルを使い、内側のディテールもアスプレイ仕様にしました。

Asprey|アスプレイ

動物を起用したイメージビジュアル。

Asprey|アスプレイ

グローブ・トロッター社製作によるトラベルケース。

──今後もイギリスの高級ブランドと組まれる予定がありますか?

イギリスには、伝統があって、クオリティの高いものがたくさんあります。たとえば、イギリスの陶磁器の技術は驚くほどです。そういった伝統をもつ作り手とコラボレーションするのは、よろこび以外のなにものでもありません。アスプレイは、「素材」という観点では、さまざまなメーカーと組んできた歴史があります。今回、はじめて「技術」という点で、グローブ・トロッターと一緒にものづくりをしましたが、すばらしい相乗効果を得られました。アスプレイをより一層、高めるために、今後もこういったコラボレーションはおこなっていく予定です。

──動物を起用した広告ビジュアルがウィットに富んでます。生きた動物を監督するのは大変だったんじゃないですか?

CGや合成写真などは一切使用していないので、本当に大変でした。きつねは人間に慣れていたので比較的楽だったのですが、だちょうには手を焼きました。首にアスプレイのジュエリーをしてもらったのですが、なかなかじっとしてくれず……(笑)。来年、アスプレイは創業230年になるのですが、そういった年にふさわしい、イギリス的ユーモアの盛り込まれたビジュアルになったと思います。

Asprey|アスプレイ

ユーモアたっぷりのイメージビジュアルより。

──ロンドンでの暮らしはいかがですか?

すばらしいです、天気以外はね(笑)。ロンドンに移る前はローマにいましたから。ロンドンはカルチャー的にも本当に魅力的な街です。美術館や博物館では、一年中、すばらしい展覧会をやっていて、どこに行くか迷ってしまうくらいです。世界中からさまざまな人びとが集まるミックスカルチャーな場所でもあり、偉大な街ですね。

Asprey|アスプレイ

軽やかな「フェザー」からインスピレーションを得たジュエリー。

Asprey|アスプレイ

ソルト アンド ペッパーや、マネーバンクといったアイテムも。

──最後に、アスプレイをどのように進化させていきたいと考えていますか?

まさに、「進化」という言葉がぴったりだと思います。伝統や高品質、イギリス的なエッセンスがアスプレイの最大の魅力です。私の仕事は、それらを失うことなく、「進化」というかたちで現代に落とし込むことです。

Asprey|Bruce Hoeksema|ブルース・ホックシーマ

Bruce Hoeksema|ブルース・ホックシーマ
アメリカ生まれ。大学では建築、ビジネスを専攻。ファッションモデルを経て、ヴァレンティノに入社。ヴァレンティノ・ガラヴァーニの右腕として活躍し、ヴァレンティノUSAプレジデントに就任。ヴァレンティノ退社後、2001年にバッグ&ジュエリーブランドVBHを創設。2010年6月から、アスプレイのクリエイティブディレクターを務める。

アスプレイ ジャパン
Tel. 03-3575-8635

           
Photo Gallery