SHIRO|布地のようにしなやかな表情をもつSHIROのクロコダイル
布地のようにしなやかな表情をもつクロコダイル
ハンドマッサージによりクロコダイル本来のもつやわらかさが極限まで引き出されたバッグたち。新進のブランドながらその独創的なクリエイションを支えているのは、100年以上つづく家業の“血”であった。
Text by OPENERS
クロコダイルに潜む本来の魅力を引き出す
エキゾチックレザーやユニークな素材で革新的なコレクションを生み出す「SHIRO」。その本物のラグジュアリーを追求する姿勢が評価され、ブランド設立からわずか数年の2006年には“もっとも革新的な新人デザイナー”に選ばれている。そのデザイナーの名はMassimo Calestrini(マッシモ・カレストリーニ)。彼は生まれもった美的感覚と品性にくわえ、深い知識と好奇心をもってクリエイションにあたっている。
彼が素材について造詣が深いのは、その“血”によるところが大きい。クロコダイルの飼育にオーストリッチや爬虫類、そしてクロコダイルなど高級レザーのなめしといった事業をはじめるために、カレストリーニ家がイタリアのピエモンテからアフリカへと移住したのが1852年。マッシモはそのアフリカ東部の国、エリトリアのアスマラで生まれた。70年代の内戦により革なめし工場が国営化されるなどして、一家は事業を手放さなければならず、その数年後には家族とともにイタリアへもどることに。しかしアフリカは彼の人生の一部でありつづけた。
カルバン・クラインやマリエラ・ブラーニでコンサルタントとして働いたあと、アフリカへもどり家業を再興することを決意する。1992年、エチオピアに革なめし工場を建て、100年以上に及ぶ家業の復興を目指した。つづく90年代後半には数かずの著名メゾンを顧客にもつまでになる。そして、事業が閉鎖していた期間に水中で保管されていたクロコダイルレザーを用いて、レッドやターコイズ、ゴールドなどの鮮やかな色に加工した自身のコレクションを開始したのが2003年。それがSHIROの誕生であった。現在はウェアとアクセサリーを展開している。
2009年春夏シーズンのバッグは、大ぶりのショッピングバッグから小さなポシェットまでが幅広く出揃った。ボートのロープを連想させるベルトやベルトループ、持ち手となった細くねじったクロコダイルのひもが特徴的だ。やわらかな黄土色からマホガニー、リュウゼンツランの赤褐色など、焼け土を思わせる情熱的な色合いのカラーパレットは、サバンナの大地を思い起こさせる。
SHIRO 帝国ホテルプラザ店 Tel.03-3593-4639