CoSTUME NATIONAL|日本における新しい旗艦店オープン! 新生コスチューム・ナショナルの革新
CoSTUME NATIONAL|コスチューム・ナショナル
日本における新しい旗艦店オープン!
新生コスチューム・ナショナルの革新(1)
2011年9月1日、青山にコスチューム・ナショナルが帰って来た。再上陸し旗艦店をオープンさせ、かつそこを中心とした複合ビルCoSTUME NATIONAL Aoyama Complex(通称=CNAC)も同時ローンチさせた。デザイナーのエンニョ・カパサ、ラボの会場構成を手がけた若手建築家の中村竜治、バーWALLのコミッションワークを手がけた、植物博士にして現代アーティスト、パトリック・ブランにもそれぞれ話を伺った。
Text by OPENERSPhoto by CoSTUME NATIONAL,JAMANDFIX
複合ビルCoSTUME NATIONAL Aoyama Complex(CNAC)も同時オープン!
1986年に創立したCoSTUME NATIONAL(コスチューム・ナショナル)は、今年で25 周年を迎える。「Edgy Chic」と評されるエンニョ・カパサのデザインは「ミニマル」、「アンドロジナス」をはじめ、多くのトレンドやムーブメントをこれまでつくり出してきた。また、モノづくりにおいては、一貫してオーセンティックであることへこだわり、「made in Italy」の伝統的なテーラード技術に裏付けされた、ハイクオリティな服をつくりつづけている。また同時に、レーザーカット等の最新テクノロジーも積極的に取り入れるなど、ファッションのあたらしい地平をつねに切り拓いている。その革新的な姿勢は、とどまることをしらない。
2011年9月1日。この日はコスチューム・ナショナルが、あたらしい歴史を刻んだ日となった。青山に旗艦店をオープンしたのだが、その挑戦はファッションにおける単なるトレンド発信に留まらなかった。CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex(通称=CNAC)と称する複合ビルを建設し、アート、建築、デザイン等、さまざまな分野を横断的に移動しながら、より先鋭的なコンテンツを提供していくための、複数のスペースを創出したのだ。その1 階に、旗艦店を含め、3つのスペースが誕生した。トータルなディレクションは、エンニョ・カパサによるもの。
まずはCoSTUME NATIONAL Aoyama。文字通りコスチューム・ナショナルの旗艦店である。エンニョ・カパサみずからが、ショップデザインのディレクションを担当。青山店限定の商品のリリースや、ロイヤル・カスタマー向けの独自サービスなど、本格的なリローンチにふさわしいオペレーション・プランおよびサービスを準備している。
次がCNAC WALL。
フランスの現代美術作家、パトリック・ブランによる国内最大規模のコミッションワークを、ショップ内の壁面2面に配し(約12メートル×3メートル規模のグリーンウォール2面)、カウンターバーと屋外テラスの2つのスペースを持つ先鋭的な空間となっており、彼の「垂直庭園」はじつに圧巻! この植物の配置には秘密があるが、それはパトリック・ブランのコメントを読んで頂きたい。またシャンパン、ワインのセレクトにもこだわり、クオリティの高いメニューが用意されている。
次がCNAC LAB。
コンテンポラリーアートの映像作品(ビデオアート)を中心とした、ノンプロフィットのエキシビジョン・プログラムを軸に、現代美術、建築、デザインなど、さまざまなジャンルのレクチャー、シンポジウム、イベントを定期的に行っていく。オープニングの特別企画展は、“CoSTUME NATIONAL : 25 Years”。コスチューム・ナショナル の25 年の歴史を振り返り、過去のコレクションのなかから代表的なルックを中心に構成するファッション・アーカイブ展である。本展の会場構成は、若手建築家の中村竜治が担当した。
なおCNAC 内には、パトリック・ブランのコミッションワークを中心に、ウィリアム・ケントリッジ、ヴィルヘルム・サスナル、ショーン・ランダース、杉本博司ほか、コンテンポラリーアートの作品を数多く展示している。
CoSTUME NATIONAL|コスチューム・ナショナル
日本における新しい旗艦店オープン!
新生コスチューム・ナショナルの革新(2)
CNAC が掲げるコンセプト“Tornados”
3つのスペースから成る複合施設CNAC(CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex)は、数多くの分野を横断しながら、質の高いコンテンツを発信すると同時に、多くの人びとの双方向コミュニケーションのハブとなるようなあたらしい場の創出を目指している。これを「Tornados」という言葉でそのコンセプトで表現。Tornados はその周辺部において、カオス(混沌)を引き起こし、周辺にあるすべてを巻き込み、吸い上げる一方で、中心部においては『Eye of Tornados』と呼ばれる簡潔で、洗練された秩序の状態をつくり出す。それは複雑系の科学でいうところの「自己組織化」にあたるという。
コスチューム・ナショナルの旗艦店を中心としたCNAC は、東京と日本における、これからの不確実かつ困難な未来へ向かって、あたらしい文化を創造し、発信することの難しさを認識しつつも、「Tornados」のようにカオスと秩序を横断しながら、次なる価値とは何かを討議する場の創出を試みることに挑戦する。なんとも期待が高まるではないか。
COMMENTS FROM CREATORS
001 Ennio Capasa|エンニョ・カパサ
コスチューム・ナショナル デザイナー
「今回のことは自分にとって、とても大事なことです。日本でのこれまでの経験、日本に対する想いなどさまざまなストーリーが、とてもうまくまとまりました。そう、コスチューム・ナショナルは日本に戻ってきました。それもブティック、カフェ、ギャラリーの複合という、とてもモダンなかたちでです。私がトータルな監修をつとめました。
3.11は私にとってもとても象徴的な出来事であり、現在進行形です。ですので、微力ながら日本のみなさんにエネルギーを与え、自分もエネルギーを頂ければと思います。クリエイションにかんしては、どんどんテクノロジーを取り入れていこうと考えています。イタリアの伝統と未来の融合です。青山店限定商品もあります。あたらしいショッピングの経験がここにあります。この場でぜひ、時間を楽しんでください」
002 Patrick Blanc|パトリック・ブラン
CNAC WALL 垂直庭園 担当現代美術アーティスト、植物博士
「フランスナショナルサイエンスセンターの研究員をしています。森林などを研究しており、植物の博士号をもっています。そんな出自ですから、もともとサイエンス畑の人間ですが、次第にイベントをやるようになりアート性が高い活動をするようになりました。
ですが今回の垂直庭園も、メインアーティストは植物です。アーティスティックな部分は二番目。というのもコロンビアやアマゾンなどの珍しい植物を使っていますが、すべて生態系に基づいて配置してあります。下に生えるもの、上に生えるもの、すべて自然の表現である自然で見たままです。私は植物に水を与えるだけ(笑)。壁の材質は開発しました。今のところこれが一番いい。フランス製のポリアミドとポリエステルのフェルトのくずを固めたものです。シンセティックな素材です。こういう融合は自然のなかでも起こっています。自然こそアートなのです」
003 中村竜治|NAKAMURA Ryuji
建築家。CNAC LAB(ギャラリースペース)のCoSTUME NATIONAL25周年アーカイブのインスタレーションを担当。
「エンニョは、個々の服がVIPとの出会から生まれた特別な服であることを大切にした展示を望んでいました。そこで、沢山の服に一度に出会うので はなく、一着一着が現れては消えていく様な出会い方を考えました。
遠くでは何着も見えた服が、近付くにつれて徐々に消えて行き、ディテールが見える頃には 一着しか 見えなくなっているというものです。服の空間を考えるのは初めてですが、エンニョの服は素材と形の関係が自然で美しいのが印象的だったので、そのような素材と形の関係もつくれたらと思いました。天井と床でずらしてリボンを固定したときにできるたわみを使っていますが、服は建築と違ってそういったたわみをう まく利用していて、その考え方を活かしました。一見装飾的に見えますが、懸垂線という力学的な線です。それが1つのイメージではなく、人の前髪や 鯨のヒゲ など様々なイメージを抱いてもらえたら嬉しいです。」
CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex
Tel. 03-4335-7772 (CN Japan Inc)