YOHJI YAMAMOTO|ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館にて展覧会開催
FASHION / NEWS
2015年3月17日

YOHJI YAMAMOTO|ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館にて展覧会開催

Yohji Yamamoto|ヨウジヤマモト

ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館にて展覧会開催

ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館は、来春3月12日(土)から7月10日(日)にかけて、世界でもっとも影響力のある先鋭ファッションデザイナーのひとりである、山本耀司の英国初の展覧会を開催する。

文=松尾 大

タブーに挑戦し続ける30年

今回の展覧会は、パリでデビューして以来30 年を迎える、その先駆的デザインでつねにファッション業界を先導してきたデザイナー、山本耀司の足跡を辿るもの。山本の革新的なデザインの数かずは、美術館の貴重な収蔵品のなかに取り入れられ、ときには片隅にひっそりと隠れ、そのシルエットが空間とのダイアログを生み出す。

展示場所は、レイトンの廊下、ノーフォーク・ハウス・ミュージック・ルーム、ジョン・マジェスキ庭園を見わたすヒンツェ彫刻ギャラリーのアルコーブをはじめ、ルネッサンス都市ギャラリー内のルネッサンス彫刻の隣の大理石階段、タペストリー・ギャラリーにいたるまで館内のあらゆるところで展開する。この空間をデザインするのは、山本と長年コラボレーションを組んできた空間演出家であり照明デザイナーである二瓶マサオ。

主要展示会場では、60 点以上にものぼるレディス・メンズ作品を展示するだけでなく、彼のこれまでのファッションショー、衣装を手がけた映画作品、またインタビューの一部抜粋や、カタログ作品、写真資料などで彼の軌跡を追い山本の仕事の全容に迫る。また、フィレンツェ-CORRESPONDENCES(2005)、パリ-JUST DES VETEMENTS(2005)、そしてアントワープ-DREAM SHOP(2006)での展覧会につづく、このロンドン展では、はじめてメンズウェア・コレクションが展示にくわわり、メゾン・ヨウジヤマモトの世界観をさらに深く掘り下げて見ることができる。

Yohji Yamamoto|ヨウジヤマモト

Photograph by Koichi Inakoshi

Yohji Yamamoto|ヨウジヤマモト

「Dream Shop by Yohji Yamamoto」 Photograph by Ronald Stoops

ボディコンシャスな時代にファッション界にあらわれた山本耀司は、それまでのファッションのタブーに挑み、アシメトリックなカッティング、身体と服のあいだに空気をはらむようなシルエットは、賛否両論を巻き起こした。そんなファッションの既成概念に挑戦する創作姿勢は今も変わることがない。素材感でみせるレイヤードやドレーピングでみせる独自のスタイルは、ファッションの美意識を書きかえ、遊びのある両性具有的な表現は、ジェンダーのアイデンティティにあたらしい領域をもたらした。

また、山本のクリエーションにとって、素材はデザインの中枢を担うものであり、彼が見せる布の落ちや動きはシグネチャーでもある。これまでに、絞りや友禅など日本の伝統的な技法を採り入れた作品も発表しており、今回の展覧会は、日本が継承してきた希少な技術の一端を紹介する機会でもある。

さらに、主要展示会場において、山本の幅広い領域での創作活動も紹介される。ニック・ナイト(ファッション・フォトグラファー)、ピーター・サヴィル(グラフィック・デザイナー)、マーク・アスコリやM/M (Paris)(アート・ディレクター)、ピナ・バウシュ(振付家)、北野武、ヴィム・ベンダース(映画監督)などとの共同作品をとおして、作品にみなぎる創作のダイアログが、山本の仕事のなかでいかに重要な潮流となって流れているかを探る。

今回の展覧会は、V&A だけではなく、ウォッピング・プロジェクトと称して、「ザ・ウォッピング・プロジェクト」および「ザ・ウォッピング・プロジェクト/バンクサイド」の両ギャラリーでも関連展示がおこなわれる。

会場|V&A 美術館の主要展示会場内
(Dorothy & Michael Hintze Sculpture Galleries、Architecture Staircase、Leighton Corridor 、Tapestry Gallery、Norfolk House Music Room、Medieval& Renaissance Galleriesほか)

会期|2011年3月12日(土)~7月10日(日)

入場料|£7 英ポンド(割引が適用される場合あり) ※V&A 会員は無料
前売り予約|Tel. 0844 209 1770、またはホームページ www.vam.ac.uk (予約手数料が必要)

展覧会キュレーターおよびデザイナー
本展担当キュレーター|V&A コンテンポラリー・キュレーター、Ligaya Salazar
展覧会デザイナー|二瓶マサオ
グラフィックアート・ディレクター|Peter Saville
グラフィックデザイン|Yes Studio
ポスターイメージ|Nick Knight

<他の展示会場>
会場|ザ・ウォッピング・プロジェクト
会期|2011年3月11日(金)~7月10日(日)
The Wapping Hydraulic Power Station, WappingWall, London E1W 3SG
http://www.thewappingproject.com

会場|ザ・ウォッピング・プロジェクト/バンクサイド
会期|2011年3月11日(金)~5月7日(土)
65a Hopton Street, London SE1 9LA
http://www.thewappingprojectbankside.com

ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館
www.vam.ac.uk

           
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