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第31回 「衣」にまつわる話_カフリンクス編(後編)
第31回
「衣」にまつわる話_カフリンクス編(後編)
さりげなく個性を発揮できるアイテム──カフリンクス。前編に引き続き、M.Y.LABELのプロダクトをご紹介します。
語り=吉田眞紀まとめ=戸川ふゆきPhoto by Jamandfix
おしゃれは、やせ我慢から?!
お気づきの方もあるかもしれませんが、M.Y.LABELのカフリンクスは、裏側にバネのついた金具を使ったものはなく、一体型のモノか、もしくはスナップ式の金具で留めるクラシックなスタイルです。
中世では、アクセサリーは「富と権力の象徴」とされ、靴やカフリンクスも自分の手によって身につけるものではなかったようです。
この歴史を踏まえ、カフリンクスのトラディションと本来のスタイルを守り、多少着けにくいことがあっても、装飾性を優先したいと僕は考えるようになりました。
もちろん僕自身、文明の利器にお世話になっているので、ものごとの合理化や簡便化を否定するつもりはありませんが、この片手でつけるにはちょっとやっかいな(!)、いえ少しだけ練習の必要な(笑)カフリンクスを、僕は慈しみ、あえて選んでいます。
そのくらいの「やせ我慢」は、かえって男の装いを楽しくさせてくれるのでは……?と思います。
大人のシャレは、とことん追求したい?
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スナップ式のシルバー製カフリンクスです。スナップ式の金具は、1940~1950年代にはエルメスなどでも採用されていた、かつてはポピュラーなスタイルだったようです。シャツを着る前にボタンホールにカフリンクスをはめておき、袖を通してからパッチンと簡単に留めることができる使い勝手のよいモノです。
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塩コショウ入れをモチーフにした、シルバー製のカフリンクスです。底面はネジを切ってあるので、中に塩、コショウを入れることができ、必要とあらば、実際に使用することも可能です。
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薬のカプセル型をモチーフにしたカフリンクスです。実際に自分の好きなカプセルを入れることができます。何を入れるかは、ご本人しだいです。
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本七宝のカフリンクスです。
シャツは「下着」?
余談をひとつ。
欧米ではシャツは「下着」と捉えているため、決して人前でジャケットを脱いだりしない(とくに女性の前では……)ですよね。ぜひ見習いたいマナーのひとつです。