第30回 「衣」にまつわる話_カフリンクス編(前編)
第30回
「衣」にまつわる話_カフリンクス編(前編)
カフリンクス(cuff links)は、字のごとくシャツの袖口(カフ=cuff)のボタンホールを繋ぐ(リンク=linkする)留め具ですが、さりげなく個性を発揮できる、魅力的なアイテムです。
語り=吉田眞紀まとめ=戸川ふゆきPhoto by Jamandfix
アクセサリーは、もともと男性のためのモノ
カフリンクスの起源には諸説ありますが、17世紀のフランスで生まれたというのが有力です。そもそもアクセサリーは、男性の「富と権力の象徴」で、王や貴族が「クラス=階級」を誇示するために用いられていたようです。
当時貴族のあいだでは、装飾的なボタンをつけることが一般的で、中世の絵画にはヒラヒラの襟や袖、金や宝石で飾られたボタンを身につけた男性がよく描かれていますよね。
しかしシャツのカフスは洗濯が必要だったため、その装飾ボタンも今日のような取り外しが容易な、カフリンクスの形態となっていったと考えられます。
19世紀に入ると、それまでファッションリーダーだった貴族階級の衰退とともに、貴族と平民の着る洋服がすこしづつ接近していき、男性のファッションは簡素で機能的なものが好まれるようになりました。
そして、時計、眼鏡、カフリンクスなど、実用的なモノに絞られてデザインが進化し、急速に一般に広まっていったようです。
ことしの『M.Y.LABEL』新作カフリンクス
『M.Y.LABEL』ではブランドを立ち上げて以来、毎年新作のカフリンクスを発表しています。これは、僕がカフリンクス好きという単純な理由からです。
ちいさなアイテムですが、装いの仕上げを引きしめるスパイスとして、とても重宝します。
ことしの春の新作をご紹介しましょう。これはカフリンクスでありながら、つけた様子はまさしく「ボタン」ですね。
白蝶貝にカラフルな20色の染色を施しました。表から見ても裏から見ても、何気ないボタンのデザインですが、そのためかえって大げさにならずに、身につけることができます。
シャツやタイとカラーコーディネイトをしたり、日によって色ちがいをつけたりと、気分で楽しんでみてください。
また、ころんとした丸い顔のカフリンクスは、ちょっとトラッドなコーディネイトを意識しました。スポーティーなジャケットに、あえてダブルカフスのシャツを合わせたり、ちょっとひねりを利かせた大人の着崩し方も新鮮ですよね。
カラーは、落ちついたゴールドとシルバーの2色をご用意しました。ご自分のイニシャル(手彫り)を左右でお選びいただけます。
カフリンクスをつけた経験がないという方、実はけっこう多いのではないでしょうか。アクセサリーは苦手という方も、カフリンクスからなら、きっと入りやすいと思います。年齢を問わずぜひ、トライしてみてください。