J.M. Weston│フランス生まれの美しい靴「J.M. Weston」の歴史とあたらしい世界
FASHION / MEN
2015年2月25日

J.M. Weston│フランス生まれの美しい靴「J.M. Weston」の歴史とあたらしい世界

J.M. Weston│ジェイエムウエストン

1891年からつづくフランス生まれの美しい靴

「J.M. Weston」 の歴史とあたらしい世界(1)

ドイツ総選挙でナチス党が圧勝した1932年、パリ・シャンゼリゼ通りに「J.M. Weston(ジェイエムウエストン)」のフラッグシップショップがオープンし、その店は、当時のパリの名士が行き交う場としておおいに賑わった。この時代に、現在も製造されているJ.M. Westonのシンボル的なモデル、ハントダービー、チェルシーブーツ、ゴルフが生まれ、ブランドの代名詞である「180 ローファー」は第2次世界大戦後に誕生する。

Text by OPENERSPhoto by J.M. Weston

大統領や政治家から、レジスタンスな若者までが愛した靴

「1966年にはみんながウエストンの“モカシン”を履いていた」という伝説が残るJ.M. Westonの「180 ローファー」。シャンゼリゼのドラッグストアにたむろする反抗的な若者たちは、父親の靴を“ジーンズ姿に素足でローファーを履く”ことで、既存の社会的規範に反抗した。さらに1968年にパリで起きた学生運動のさいには、そのローファーは学生たちのシンボルとなった。

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第2次世界大戦後、J.M. Westonの創立者の息子ユージェーヌ・ブランシャールによって200以上のモデルを経て完成された「180 ローファー」は、発売以来変わらぬ木型を使ってつくられている。紐靴とはちがい、足にフィットさせるのが難しいローファーだが、「180 ローファー」は4mmピッチのサイズ展開とA~Fまでの豊富なウィズ(横幅)展開で、自分の足に最適な一足を選ぶことができる。足の曲線に合わせた、足全体を包み込む構造は快適な密着感を生み出し、アウトソールには自社のタナリーでなめされた革を用い、耐久性に優れている。

ブラックボックスカーフのローファーは世界でももっとも売れている商品のひとつであり、本国フランスではもちろん、世界中で卒業時や就職のお祝いなど、人生の節目におけるプレゼントとして重用されている。

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ゴルフシューズを原型とするそのユニークなスタイルから「ゴルフ」と称されるモデル「641」もJ.M. Westonを代表する名作。ブランドの頭文字を凹凸にあしらったラバーソールは抜群のグリップ感をもち、人間の足に極めて近い独特の木型と、4種類のウィズ(横幅)展開とあいまって、優れたフィット感と履き心地を備えている。アッパーには多少の雨であれば浸入を防いでくれるロシアンカーフを使用。特筆すべき堅牢性を発揮する。

専門職人によって生み出される比類なき強さと美しさ

1足のJ.M. Westonの靴が完成するまでには約3ヵ月、150以上の工程が必要で、全工程がそれぞれ専門の熟練した職人の手仕事によって伝統技術に忠実につくられていく。

すべて職人の手作業でつくりだされるラスト(木型)、フランス最高のタナリーから150種類以上にわたって直接仕入れられる原皮、革切職人によってパーツ毎に一足ずつカットされるアッパーの革、世界で唯一自社で所有しているソールレザー専用のタナリーによる抜群の強度をもったソールの革……。

そして、靴のアッパーとインソールを縫い合わせる伝統的なグッドイヤーウエルト製法によって、J.M. Westonの靴は、快適さと美しさを備えた名作として発売から現在にいたるまで変わらぬ人気を誇っている。

J.M. Weston│ジェイエムウエストン

1891年からつづくフランス生まれの美しい靴

「J.M. Weston」 の歴史とあたらしい世界(2)

デザイナー ミッシェル・ペリーによる“革新と進化”

2007年、J.M. Westonのニュークラシックコレクションに、18世紀に美しい芸術品をこよなく愛したコンティ皇子に敬意をあらわしたニューライン“Conti”がくわわった。デザインを手がけたのはミッシェル・ペリー。

シャープなトゥまで流れるようなラインが美しい“Conti”は、オリジナルのディテールとしてステッチとパンチングを織り交ぜたアラベスク模様がほどこされている。

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オックスフォードにほどこされた婦人服の胸飾りのようなアラベスク模様や、ダービーに飾られた男性シャツの襟飾りのごときレーシングは、巧みに靴のシェイプを美しく際立たせ、このコレクションを象徴している。

ブラックパテントレザーの「437 ダービー」は、ロックふうのテイストをコレクションにプラス。スタイリッシュな美しさとロックテイストが融合した、時を超えたエレガンス溢れるコレクションとなっている。

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Michel Perry|ミッシェル・ペリー
1949年、靴屋の息子に生まれる。ベルギーで美術学校に通い、インディペンデント系の靴メーカーやイタリアのシューズブランドにてデザイナーを経験する。1987年より自らの名を冠したブランドを設立してコレクションデビュー、同年パリにショップをオープン。女性的な感性を中心に据え、ユーモア、魅惑、上品さを調和させた、カラフルでフェミニンなコレクションは、多くの女性を魅了している。2001年よりJ.M. Westonのデザインも開始。歴史と芸術を愛する彼は、J.M. Weston のもつ伝統を自身のあたらしい
解釈により進化させたニュークラシックコレクションを発表している。

J.M. Weston│ジェイエムウエストン

1891年からつづくフランス生まれの美しい靴

「J.M. Weston」 の歴史とあたらしい世界(3)

パリのあたらしいエレガンスの結晶

2008年に発表された“Graphic(グラフィック)”は、クラシックとモダンのあいだに位置するミッシェル・ペリーによるあらたなデザインコンセプト。簡素でありながら、ダンディズムロックと現代建築からインスピレーションを受け、細身のフォルムに描かれた直線と曲線のコントラストは、個性や魅力を引き立てる。

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「446 オックスフォード」「448 キャップトゥダービー」「449 ダービー」の3モデルは、甲の部分のデザインが特徴。伝統的なモカシンのように平らな甲は、靴のフォルムに品格を与えながら、鏡のように光を捉えて反射させる。

それぞれのモデルには波型のディテール──オックスフォードには側面から甲にかけて曲線が、ダービーの外羽部分にはバタフライカットがあしらわれ、優雅で官能的な雰囲気をもたらして、パリスタイルのエレガンスが感じられる。

10月24日まで、J.M. Weston青山店、心斎橋店で“ウィンターローファー受注会”開催中

JMウェストン|靴|歴史 15

受注会では、ウィンターシーズンをイメージして厳選した、レギュラーモデルでは取り扱いのない特別な3色をオーダー可能。モデルはクラシックラインからシグネチャーローファー 180、ニュークラシックのコンティラインからローファー 436の2型で、それぞれ3バージョンずつ。年内のデリバリーとなるため、年末年始のお出かけのコーディネイトに取り入れられる。詳しくは、下記のJ.M. Weston青山店、心斎橋店まで。

J.M. Weston 青山
東京都港区南青山5-11-5
Tel. 03-5485-0306
営業時間│11:00~20:00

J.M. Weston 心斎橋
大阪市中央区西心斎橋1-1-13
Tel. 06-6245-0881
営業時間│11:00~20:00

ジェイエムウエストンジャパン
Tel. 03-6805-1691
www.jmweston.com

           
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